2023.03/14(Tue)
最近気になったお漫画はこれです 不定期便 1通目
タイトル通りの試み、初投稿です。
R氏だよ。
最近読んでよさげだった/先がちょっと気になったお漫画をポイポイと一行くらいの簡単な紹介を添えて置いていくやつです。
いつも年末に書いているレベルのものではなく、その前段階というか、「これちょっと気になるな」「もうちょっと読んでみようかな」と思ったものをとりあえず羅列するだけのもの。
ちゃんとした(ちゃんとしてるか?)のはいつも通り(やれたら)年末にまとめます。
読んだり読まなかったりの波が非常に大きいので、1シーズンに1回とかでなく、超絶不定期、なんならもう今後無い可能性もあるけれど、ちょっとやってみるかと思ったのでとりあえずやってみる感じで。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
( -v-)...INDEX...
01. 令和のダラさん

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
世にも恐ろしい謎多き怪異と、それに遭遇してしまったきょうだいの──全く怖くない、オカルトコメディ令和最新版。設定やキャラクターバランスがよく、テンポの良さもあいまってとても楽しい。
02. この復讐にギャルはいらない

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
陰キャ殺し屋と陽キャギャルの疑心暗鬼ラブコメ。元殺し屋だったり両親を殺されたという背景すらも、陽キャギャルがいれば非常にゆるく、かわいく、楽しいものになってしまう。癖になる面白さ。
03. 大正忌憚魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
大正時代の日本で暮らす、小さくて孤独な魔女の話。異邦人へのあたりの強い世界だが、健気でかわいい姿をみると応援したくなる。
04. 破滅の恋人

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
その女は幽霊か、魔女か。少女は幽霊屋敷と噂される場所でそこに住む謎の美女と出会い、引き寄せられていく。まだまだこれから動き出す物語。
05. 迷宮の王

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
地下迷宮で生き、冒険者に倒されればリスポーンする──そんな名もなきただのエネミーの一体で"あった"ミノタウロス。それが掟を超越し、成長し、脅威と化していく。そんな様子を、あくまでも中立的な目線で描く、一匹の王にまつわる闘争の物語。
06. 魔王が田舎に嫁いだら

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
じわじわと過疎化が進む、そんな田舎で小学校の先生をする主人公。彼はひょんなことから、物事が滅びゆく様や過程を愛する魔王と結婚することに。そんな主人公と魔王の田舎生活ラブコメ。魔王くっそかわいい。
07. 生きてるうちに推してくれ

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
霊感が強いどころじゃない崖っぷち地下アイドルの彼女を推してくれるのはいつも霊ばかり。当然握手会等の成果も奮わず、クビ目前の状態に。そこへ現れるは霊感ゼロだが退魔力は凄まじい生臭坊主。そんなふたりのオカルトコメディー。
08. 夜な夜な夜な

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ダークな箱根を舞台に、美術品の窃盗に手を染める腐りきった警察と盗まれたものを警察から盗み戻す正義の怪盗団という逆転した立場の攻防を描くピカレスクロマン。いまはまだ舞台やキャラクター紹介等、物語の導入部分。2巻以降で繰り広げられるであろう激戦に期待。
09. スティアの魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
大河のほとりにて渡し船の渡し守として働く少女の日常を描くファンタジー。ですが、表紙とキャラクターの雰囲気で油断することなかれ。この世界、思った以上に穏やかではない。
10. ダーウィンクラブ

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
貧富や人種等、様々な格差が広がる社会を舞台に、現実世界で言ういわゆるGAFA的企業が組織的犯罪により狙われる。そんな組織に父親を殺された主人公が組織を追い詰めるクライムサスペンス。主人公にちょっといろいろな意味で癖があるが、そこを飲み込めれば楽しめる。
11. 偽者協会

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
不安を感じると頭以外が毛布になってしまう女の子が主人公。世の"本物(普通)"から外れてしまったモノが集まる「偽物教会」。そんな"偽物"たちと会長が繰り広げる優しいほのぼのコメディー。
12. 宇宙の音楽

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
プロのトランペット奏者を父に持つ、吹奏楽を愛するが喘息を患っている少年が新たな夢を見つけ、追いかける青春ストーリー。第1話でかなり強く引き込まれた。まだ単行本も出ていないが、今後が楽しみな一作。
ひとまずこのくらいで。
今年入って読んだ30作くらいのうち約半分が良さげヒットをしているので、今年はアツいかもしれない。
またなにかえぇやつがあって時間他があったら書きたい。
そんな感じで。
R氏だよ。
最近読んでよさげだった/先がちょっと気になったお漫画をポイポイと一行くらいの簡単な紹介を添えて置いていくやつです。
いつも年末に書いているレベルのものではなく、その前段階というか、「これちょっと気になるな」「もうちょっと読んでみようかな」と思ったものをとりあえず羅列するだけのもの。
ちゃんとした(ちゃんとしてるか?)のはいつも通り(やれたら)年末にまとめます。
読んだり読まなかったりの波が非常に大きいので、1シーズンに1回とかでなく、超絶不定期、なんならもう今後無い可能性もあるけれど、ちょっとやってみるかと思ったのでとりあえずやってみる感じで。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
( -v-)...INDEX...
01. 令和のダラさん
02. この復讐にギャルはいらない
03. 大正忌憚魔女
04. 破滅の恋人
05. 迷宮の王
06. 魔王が田舎に嫁いだら
07. 生きてるうちに推してくれ
08. 夜な夜な夜な
09. スティアの魔女
10. ダーウィンクラブ
11. 偽者協会
12. 宇宙の音楽
01. 令和のダラさん

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
世にも恐ろしい謎多き怪異と、それに遭遇してしまったきょうだいの──全く怖くない、オカルトコメディ令和最新版。設定やキャラクターバランスがよく、テンポの良さもあいまってとても楽しい。
02. この復讐にギャルはいらない

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
陰キャ殺し屋と陽キャギャルの疑心暗鬼ラブコメ。元殺し屋だったり両親を殺されたという背景すらも、陽キャギャルがいれば非常にゆるく、かわいく、楽しいものになってしまう。癖になる面白さ。
03. 大正忌憚魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
大正時代の日本で暮らす、小さくて孤独な魔女の話。異邦人へのあたりの強い世界だが、健気でかわいい姿をみると応援したくなる。
04. 破滅の恋人

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
その女は幽霊か、魔女か。少女は幽霊屋敷と噂される場所でそこに住む謎の美女と出会い、引き寄せられていく。まだまだこれから動き出す物語。
05. 迷宮の王

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
地下迷宮で生き、冒険者に倒されればリスポーンする──そんな名もなきただのエネミーの一体で"あった"ミノタウロス。それが掟を超越し、成長し、脅威と化していく。そんな様子を、あくまでも中立的な目線で描く、一匹の王にまつわる闘争の物語。
06. 魔王が田舎に嫁いだら

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
じわじわと過疎化が進む、そんな田舎で小学校の先生をする主人公。彼はひょんなことから、物事が滅びゆく様や過程を愛する魔王と結婚することに。そんな主人公と魔王の田舎生活ラブコメ。魔王くっそかわいい。
07. 生きてるうちに推してくれ

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
霊感が強いどころじゃない崖っぷち地下アイドルの彼女を推してくれるのはいつも霊ばかり。当然握手会等の成果も奮わず、クビ目前の状態に。そこへ現れるは霊感ゼロだが退魔力は凄まじい生臭坊主。そんなふたりのオカルトコメディー。
08. 夜な夜な夜な

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ダークな箱根を舞台に、美術品の窃盗に手を染める腐りきった警察と盗まれたものを警察から盗み戻す正義の怪盗団という逆転した立場の攻防を描くピカレスクロマン。いまはまだ舞台やキャラクター紹介等、物語の導入部分。2巻以降で繰り広げられるであろう激戦に期待。
09. スティアの魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
大河のほとりにて渡し船の渡し守として働く少女の日常を描くファンタジー。ですが、表紙とキャラクターの雰囲気で油断することなかれ。この世界、思った以上に穏やかではない。
10. ダーウィンクラブ

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
貧富や人種等、様々な格差が広がる社会を舞台に、現実世界で言ういわゆるGAFA的企業が組織的犯罪により狙われる。そんな組織に父親を殺された主人公が組織を追い詰めるクライムサスペンス。主人公にちょっといろいろな意味で癖があるが、そこを飲み込めれば楽しめる。
11. 偽者協会

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
不安を感じると頭以外が毛布になってしまう女の子が主人公。世の"本物(普通)"から外れてしまったモノが集まる「偽物教会」。そんな"偽物"たちと会長が繰り広げる優しいほのぼのコメディー。
12. 宇宙の音楽

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
プロのトランペット奏者を父に持つ、吹奏楽を愛するが喘息を患っている少年が新たな夢を見つけ、追いかける青春ストーリー。第1話でかなり強く引き込まれた。まだ単行本も出ていないが、今後が楽しみな一作。
ひとまずこのくらいで。
今年入って読んだ30作くらいのうち約半分が良さげヒットをしているので、今年はアツいかもしれない。
またなにかえぇやつがあって時間他があったら書きたい。
そんな感じで。
2022.12/27(Tue)
このお漫画めっちゃよかったよ2022special
待たせたな。
今年もグッドお漫画フェスのお時間です。
R氏だよ。
今年読んだお漫画で「あーこれめっちゃいい」ってなったやつをフンフンと置いていくよ、の2022年specialバージョンです。
気づいたら3年目、3回目です。
やったね。
いまからでも手を伸ばしやすいよう、なるべく発行巻数が少ない作品を選んだよ。
2022年版と言っても、2022年に連載開始・第1巻が発売したものだけというわけではなく、2022年に新しく読んだ・積みを崩したなかでよかったものを選んでるよ。
掲載順に意味はない……けれど、ある程度ジャンルや雰囲気で固めて並べてはあるよ。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
※ Kindle以外のストアリンクはお手数ですが、各自検索のうえお探しください。
・前のやつ
2021年版:このお漫画めっちゃよかったよ2021special
2020年版:このお漫画めっちゃよかったよ2020special
( -v-)...INDEX...
数が多いので簡潔に。
■ フールナイト

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ビッグコミックスペリオール」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者は安田佳澄さん。
ぶ厚い雲に陽の光を遮られた数百年後の未来の地球。
ほとんどの植物が枯れ、酸素も薄くなった、冬と夜ばかりが繰り返されるこの世界で人々は「人を植物に変える技術」を開発。
光も酸素も薄い、先の見えない絶望のなかで人として生きて死ぬか、それとも人であることを辞め、苦しみを捨てて植物として新たな世界を生きるか……そんな世界と人々の物語。
前述の後者を選択した、かつて人であった植物が発する"声"を聞くことができる特殊な力を持つ主人公がその能力を買われ、「人を植物に変える技術」を扱う組織・施設の一員となり、様々なケースやそれを起因とする事件に巻き込まれていきます。
世界観や国の制度と国民の対立、生きるのに必須なものが不足した状況、貧困等など……かなり重苦しい設定や雰囲気が盛りだくさんですが、ストーリーがとにかくおもしろく、ぐいぐい読み進められます。かなり現実的な終末世界で、もがきながら生きようとする人々の様子がリアルに、かつ漫画的にもおもしろく描かれています。
今年イチ「とんでもねぇ新人が出てきた」と思わされた、もっと大きな話題になってほしい作品。ぜひ読んでほしい。
■ あおのたつき

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「マンガボックス」にて連載中。
作者は安達智さん。
電子書籍版(現在第9巻まで)と紙のコミックス版(現在第7巻まで)で巻数が異なるので、特にオンラインで購入する際はよく見て気をつけてください。
江戸最大の遊郭、吉原。
生者と死者の情念が渦巻くこの街で売れっ子の遊女だった"あお"は、気がつくと見知らぬ神社に迷い込んでいた。
その社は様々な過去を背負った、霊験のご利益を求める者のみが辿り着く、浮世と冥土の狭間、『鎮守の社』。
そんな魂を導き、救うために、宮司の楽丸とともに、"あお"は数多の人生を紐解いていく。
それが、"あお"のたつき(生計)。
吉原や遊女、浮世と冥土の狭間といったキーワードから結構重苦しいダークな作品かと思われるかもしれませんが、たしかに出てくるわだかまりは重いものが多いけれども、そういったものはあまり感じられない。
吉原があった時代の綺羅びやかな空気感や情景、それに対して暗く苦しい部分、その両方を漫画的おもしろさに落とし込んでいます。
古き日本の風景描写の描き込みや、モノに合わせて変わる画風、ふきだまる負の情念の描写等、読んでいて視覚的にも隅々までとてもおもしろい。それでいて全体的にわりとポップめな作風ですが、江戸時代に実在した人物の話なんかも少し出てくる等、様々な時代考証等もしっかりしていて、次はどんな話だろうとワクワクしながら楽しめます。
ぜひともお手にとっていただきたい。
■ 煩悩☆西遊記

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「サンデーGX」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者はクリスタルな洋介さん。
孫悟空・猪八戒・沙悟浄をお共に、真の救済が記されてる経典を得るため天竺を目指す三蔵法師。
その道程で三蔵法師に次々と……ドスケベな試練が襲いかかる!!!!!
仏の道に生きる三蔵法師にとって、貞操を失うということはそれ即ち死を意味する。
三蔵法師は降り注ぐドスケベ試練に負けず、煩悩に打ち克ち、貞操を守り抜けるのか????!?!?!?!?
……。
……?
はい、見ての通り『西遊記』ベースの作品です。どう見ても『西遊記』です。
ドスケベな漫画ではあるのですが、正直これむちゃくちゃおもしろい。
エロ漫画では決してないです。これは強く言いたい。
男子中学生が大喜びしそうな怒涛のスケベ展開が次々起こり、煩悩まみれの三蔵法師はいともたやすく射……発狂寸前に追い詰められますが、その過程や結果に原作『西遊記』へのパロディやリスペクトが多々あり、それがかじった程度ではなくかなりしっかりしています。
読み進めていくとどんどんわかっていくのですが、作者の『西遊記』への理解度がやばい。
恐ろしいまでに知り尽くしてるからこそ描ける内容だと感動すら覚える。
『西遊記』をベースにした作品ってどうにも最後まで熱が続かないというか、残念な感じになりがちな気がするのですが、これは最後までしっかりスケベで哲学的にも原作的にも楽しめそうな予感が初めてしています。
『西遊記』へのリスペクトと理解がとてつもないのは間違いないのですが、ちょいエロ作品であることには変わりないので、その手のものに抵抗がなければぜひ読んでみてほしい。
ふざけているように見えて、実はかなり高度な次元でまとまり、考え込まれた作品です。
■ 税金で買った本

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ヤングマガジン」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。原作はずいのさん、漫画は系山冏さん。
図書館のお仕事系漫画。
ヤンキー・石平くんは小学生ぶりに訪れた図書館で、10年前借りた本をまだ返却していないことを指摘される。その指摘をきっかけに図書館に通うようになり、図書館で働く人々と触れ合ううちに通うどころか働くことになる。
図書館のわりと突っ込んだ裏側がいろいろと見えてくる。「そうなんだ」っていう図書館にある本の取り扱いが出てきたりと、地味に勉強になる。
作者やその友人らの体験談なんかも本編やTIPS等に組み込まれているので、図書館のお仕事がコミカルに描かれてはいるけれど、その大変さが伝わってくる。
どこにでもクソ客はおるんやなぁ……(それはそう)
それはそれとして人間ドラマ的な部分もしっかりおもしろくておすすめ。
去年のまとめを書いた直後に読んで、これはいいなぁと思ってからちょうど一年くらいが経過しましたが、以降の続刊でもその良さは衰えず。ぜひどうぞ。
■ 妖精のおきゃくさま

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「Webアクション」にて連載されていました。
もしかしたら今後も不定期連載あるのかも?
全2巻で完結済み。作者は脇田茜さん。
ちょっと変わったお仕事系漫画。
洋服やアクセサリーの製造・販売業を営む主人公の前に、不思議な妖精が現れる。
妖精はアサガオを手に、「このお花で洋服を作ってほしい」とお願いし、ふたりで妖精用サイズの洋服を作ることから、綺麗で華やかな洋服をめぐる、人間と妖精の心温まる交流の日々が始まるお話。
1巻完結型で、1冊毎にお話としてはまとまっています。
妖精さん周辺の描写をメインに主人公と妖精さんの関係を、2巻では妖精さんが主人公だけでなく外の世界の人間(子ども)と出会い、触れ合うことで広がる世界を中心に物語が描かれています。心理描写はもちろん、服飾の細かい描写もとても繊細で、とても優しい作品に仕上がっています。
どちらの巻でも妖精さんが健気でまっすぐでとてもかわいらしい。
暖かい気持ちになれるおすすめの一作。
■ ブレス

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「少年マガジンエッジ」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者は園山ゆきさん。
メイクが好きでメイクアップアーティストになる夢を持っていた元モデルの男子高校生・アイア。彼は同じクラスの、自分に自信がなく引っ込み思案な冴えない女子高生・炭谷純とともに学園祭のコンテストに出場することに。周囲は当然、アイアにモデルを期待するが、その役割を入れ替え、普段クラスでは見せない純の魅力をメイクで引き出し学園祭の舞台へ挑みます。それをキッカケにそれぞれのかつての夢や未来に向かっていく、服飾の世界を舞台にした青春物語。
それぞれ秘めたる想いや情熱はたしかにあれど一人では諦めていたものを、他の誰かとの出会いが変えていく。その姿に力をもらえる、とても熱量の籠もった作品です。
コンプレックスすら武器に変え、マイナス同士をかけ合わせてプラスにするタイプ。メイクというなかなか珍しい題材ですが、いろいろな舞台、世界、人に出会い、多くを目の当たりにすることで切磋琢磨していく様子が力強く描かれており、全く知らない分野でもすんなり読めると思います。
まだまだこれから、この先の展開が楽しみな一作です。
■ ひかるイン・ザ・ライト!

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「漫画アクション」にて連載されていました。
全4巻で完結済み。作者は松田舞さん。
アイドルを目指すオーディション・サバイバル、ここに開幕!
銭湯を営む家庭に生まれたごくごく普通の女の子・荻野ひかる。彼女はいつも銭湯を掃除しながら、モップ片手に歌うことが大好きな中学三年生。そんな彼女を中心に、有名な大所帯グループでアイドルをしている友人であり幼馴染の西川蘭、世界的プロデューサーのM・葉山をキーに、一大オーディション「ガールズ・イン・ザ・ライト」が始まり、アイドルとしてデビューするまでの物語。
声量がずば抜けて大きい以外は特に秀でた部分はないけれども、彼女の情熱や夢に向かって努力するその様子の描写がうまく、またテンポがとにかくよく、気持ちよくライトに読めます。
現実でアイドル戦国時代と言われた時代のその先。ごく近代のアイドルとそれを目指す人々の姿を描いたような、そんな作品。
よくある(?)ドロドロした闇や業界に焦点を合わせたような内容ではなく、その名の通り、光のなかで輝く、目を閉じてもまぶたの裏に残るひかる存在が主となる原石発掘タイプの、オーソドックスなアイドル作品です。
■ 誰何 Suika

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「COMICリュウ」にて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はつばなさん。
待望の最新作もやっぱり狂っていた(安心)
「告白に失敗したら存在が消える」という謎の怪現象が若者の間で大流行。むっちゃモテる主人公のあやかちゃんは今日も告白をお断りし、無事男子を消滅させてしまう。怪奇現象が起因となって起きていることは、ほんわかしていますが実のところ死に近い。でも周りは「あーあまたやっちゃった」くらいの感想。この作品ではそんなことはあくまで日常の範囲内。
そんな怪現象解決のカギを握るのは、「自分がアイドルになって、推してもらうこと」。その理由は作中にあります。紆余曲折というほどのことはないけれど、アイドル部を設立し、5人の女の子たちはアイドルを目指して、やれるだけのことをやって頑張る!
そんな、かわいさとポップさで隠しきれない狂気に満ち溢れたアイドルモノです。正直この先どうなるのか全くわからない。
だって、つばな作品だもの。
これぞ、つばな作品。
PO!
■ 薫る花は凛と咲く

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「マガジンポケット」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者は三香見サカさん。
年明けすぐ(2023年1月6日)に第6巻が出ます。
バカが集まる底辺男子校・千鳥高校と、由緒正しきお嬢様校・桔梗女子。隣接するこの二つの高校に通う、強面で物静かな千鳥高校の紬凛太郎と、凛太郎の実家のケーキ屋手伝い中にお客として来ていた桔梗女子の和栗薫子。そんな、近くて遠い二人が織りなす青春学園物語。
千鳥側の主人公は特別ものすごいヤンキーだったり、対する桔梗側の主人公は超絶高嶺の花なお嬢様……というわけでは全くなく、いい意味で双方タイプは違えど、とても素朴。そんななんでもない、普通にそのあたりにいて、普通にその学校に通う初々しい二人のやり取りがとにかく微笑ましい。彼ら・彼女らが入学するよりもずっと前から存在する学校同士の軋轢にも負けず、いろいろな壁を乗り越えて、少しずつ距離が近づく様子から目が離せない。
薫子がむっちゃかわいいのはもちろん、凛太郎もドがつくピュアさでかわいい。
アニメ化よりもドラマ化しようぜ、って感じの作品。
私のことをよく知る人は「これが今年最も"癖"に刺さったのでは」と感じていただけると思います。
■ 恋と千里眼と青二才

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ヤンマガWeb」にて連載されていました。
全2巻で完結済み。作者は御家かえるさん。
未来を見通す「千里眼」を持つエスパーJKと、そんな彼女にデレデレのショタ(と言っても男子中学生)。ファーストコンタクトでは彼女と少年は未来で結婚するはずだったのだが、その後ふたりで過ごしていくなかで起きる様々な些細なきっかけで少年の未来像がどんどん変わっていき、はじめに見通したものとはかけ離れたものになっていく……。その未来に揺れ動く彼女と少年の恋の行方は?
なるほどなるほど~って読んでいたら全2巻で完結した。話中で未来がいともたやすく、ころころと変わっていくので、次の話でどう軌道修正するのか?そもそもできるのか?といった感じで楽しめます。途中で新キャラが出てきはするものの、あくまでもエスパーJKと少年のふたりの狭い世界を描いた作品なので、全2巻で完結したのはちょうどいい塩梅だったかもしれない。無駄なく綺麗にまとまってます。
特別何かが新しいとか、そういうものはあまりないけれど、デザインやまとまり具合等すべてひっくるめて個人的にむっちゃ好きなお漫画でした。
……あと、千里眼を第3の目としておでこへ配置した作者は何かしらの賞を受賞するべき。
これによってどのページでも常に金髪おでこを拝むことができる。
これはまさしく天才の所業である。ありがとうございました。
■ ぷにるはかわいいスライム

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ウェブコミック配信サイト「週刊コロコロコミック」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者はまえだくん。
挙げたら負けかなと思った。でも勝てなかった。
はい、インターネットの大きな子どもたち(コロコロキッズ)みんな大好きぷにる。
コロコロ初(ほんまか)のラブコメとして始まった本作ですが、ただそういう話題性だけでなく、ラブコメ漫画としてちゃんと面白い。そんなところも面白い。新キャラやぷにるの新フォーム(言い方)が次々と出てきますが、そのどれもがコロコロらしさを保ちつつも、作者の癖(へき)がダダ漏れで実に素晴らしい。
定期的に「ホビー好き」(読み:コロコロキッズ)、「うんこちんちん」(読み:コロコロコミック)、「メンタル小学生」(読み:メンタルコロコロキッズ)といった、忍○と●道じみたルビが振られるのも面白い。
いろいろ読み漁った果てで、まさかうんこちんちん(コロコロ)キッズの頃に読んでいたコロコロコミックに戻ってくるとは……。
それはそうと、カビぷにるください(癖)
■ 異世界猫と不機嫌な魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「やわらかスピリッツ」「マンガワン」にて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者は柏葉ヒロさん。
むっちゃデカい猫と孤独なおばちゃん魔女の叙情ファンタジー。
これは、ねこちゃんの異世界転生。
その昔、魔王を滅ぼし世界を救った偉大な魔道士だったが、平和な世界の訪れと共にそんな功績も忘れ去られ、挙げ句腫れ物扱いまでされてしまう。いまでは人里離れた森のなかで静かに生活を送るそんな彼女が人生最後の召喚として呼び出したのは……むっちゃデカいねこ。とにかくデカい。家のドアを開けたらねこの毛に埋もれるレベル。
なんとこの世界、ねこという概念が存在しません。なんて世界だ……。なので、召喚されたねこは"得体の知れないモンスター"なのです。そんなモンスターと「魔女」として恐れられる老婆、互いにとって決して生きやすいとは言えないこの世界で、寄り添いあいながら生きていく一人と一匹を中心に物語が展開していきます。
第1巻のまとまり具合が非常によくて、これで終わりかと思うくらい。ここで終わっとけば、なんてことは全くなく、第1巻の感触がよかったらその先も十分楽しめると思います。
■ 廃バスに住む

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「WebComic アパンダ」にて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者はイチヒさん。
超超超個人的に好きな作品。
住んでいた部屋が雨漏り修繕のために出なければならなくなったむちゃくちゃマイペースで美人な教師。そんな彼女は学校のすぐそばにあった廃バスを見つけ、そこに住み着くお話。
あまりにもタイトル通り。あまりにも緩い。廃バスに女性がひとりで住むだなんて大きな事件が起きそうだけれども、そんなことは全くなく。生徒と一緒に勉強したり、廃バスのなかで見つけたゲーム○ーイでポ○モン的なゲームを遊んでみたり、外で肉を焼こうとしてみたり……。
小さな頃に自分たちしか知らないであろう空間や秘密基地で遊んだ、あの日の空気のにおいを懐かしめる……かもしれない。
そんな雰囲気を楽しむアンビエント生活お漫画。
■ 鍋に銃弾を受けながら

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「コミックNewtype」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。原作は青木潤太朗さん、漫画は森山慎さん。
「治安の悪い場所の料理は美味い」
これは、釣り好きで世界中のあちこちを旅した作者の実体験に基づくノンフィクショングルメリポート漫画。ノンフィクションなんですよこれ。
作中に登場する美少女はすべておっさんですが、二次元の過剰摂取によって脳が破壊された作者の幻覚により、周囲すべての人が美少女に見えてしまうため、登場人物は皆美少女として描かれています。何を言ってるんだ?
危険地帯に赴く……と言っても、たとえば紛争地域のような銃弾が飛び交っているような意味での危険地帯ではなく、他所の国から来た旅行者が夜中に一人で歩いてたら危ないぜ的な危険地帯です。グランド・セフト・オート的な感じ。
そんなロケーションやおっさん的美少女の楽しさもあるのですが、肝心のグルメリポートの部分がかなりしっかりしています。毎話、その話に出てくるヤバ地域めちゃウマ料理レシピを丸ごと1~2ページ使って紹介していたり、味のたとえ等がすごくわかりやすく、その料理についての情報がスッと入ってくるし想像もしやすい。アマゾンのジュースむっちゃ飲みたい。
ただただかわいい女の子がおいしい料理を食べて、恍惚とした表情を浮かべるような作品とは全く違う。たくさんの人の目にとまってほしい作品。
ちなみに今のところ、鍋に銃弾は受けていない。
今年も最終的にそれなりの数になってしまった。仕方ないね。
これが既に厳選されたリストですが、このなかでも更に、特に、「せめてこれだけでもいいから読んでって」のを挙げるなら、『フールナイト』『あおのたつき』『薫る花は凛と咲く』『鍋に銃弾を受けながら』かな。
あいも変わらずジャンルがてんでバラバラですが、そんな感じで2022年に読んだなかでよかったやつでした。
余裕があったら、過去挙げた作品のなかから「いまも継続してむっちゃおもしろいやつ」をまとめたりしたい……。
今年もKindleにカート機能が実装されなかった。
どうして……。
今年もグッドお漫画フェスのお時間です。
R氏だよ。
今年読んだお漫画で「あーこれめっちゃいい」ってなったやつをフンフンと置いていくよ、の2022年specialバージョンです。
気づいたら3年目、3回目です。
やったね。
いまからでも手を伸ばしやすいよう、なるべく発行巻数が少ない作品を選んだよ。
2022年版と言っても、2022年に連載開始・第1巻が発売したものだけというわけではなく、2022年に新しく読んだ・積みを崩したなかでよかったものを選んでるよ。
掲載順に意味はない……けれど、ある程度ジャンルや雰囲気で固めて並べてはあるよ。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
※ Kindle以外のストアリンクはお手数ですが、各自検索のうえお探しください。
・前のやつ
2021年版:このお漫画めっちゃよかったよ2021special
2020年版:このお漫画めっちゃよかったよ2020special
( -v-)...INDEX...
01. フールナイト
02. あおのたつき
03. 煩悩☆西遊記
04. 税金で買った本
05. 妖精のおきゃくさま
06. ブレス
07. ひかるイン・ザ・ライト!
08. 誰何 Suika
09. 薫る花は凛と咲く
10. 恋と千里眼と青二才
11. ぷにるはかわいいスライム
12. 異世界猫と不機嫌な魔女
13. 廃バスに住む
14. 鍋に銃弾を受けながら
数が多いので簡潔に。
■ フールナイト

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ビッグコミックスペリオール」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者は安田佳澄さん。
ぶ厚い雲に陽の光を遮られた数百年後の未来の地球。
ほとんどの植物が枯れ、酸素も薄くなった、冬と夜ばかりが繰り返されるこの世界で人々は「人を植物に変える技術」を開発。
光も酸素も薄い、先の見えない絶望のなかで人として生きて死ぬか、それとも人であることを辞め、苦しみを捨てて植物として新たな世界を生きるか……そんな世界と人々の物語。
前述の後者を選択した、かつて人であった植物が発する"声"を聞くことができる特殊な力を持つ主人公がその能力を買われ、「人を植物に変える技術」を扱う組織・施設の一員となり、様々なケースやそれを起因とする事件に巻き込まれていきます。
世界観や国の制度と国民の対立、生きるのに必須なものが不足した状況、貧困等など……かなり重苦しい設定や雰囲気が盛りだくさんですが、ストーリーがとにかくおもしろく、ぐいぐい読み進められます。かなり現実的な終末世界で、もがきながら生きようとする人々の様子がリアルに、かつ漫画的にもおもしろく描かれています。
今年イチ「とんでもねぇ新人が出てきた」と思わされた、もっと大きな話題になってほしい作品。ぜひ読んでほしい。
■ あおのたつき

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「マンガボックス」にて連載中。
作者は安達智さん。
電子書籍版(現在第9巻まで)と紙のコミックス版(現在第7巻まで)で巻数が異なるので、特にオンラインで購入する際はよく見て気をつけてください。
江戸最大の遊郭、吉原。
生者と死者の情念が渦巻くこの街で売れっ子の遊女だった"あお"は、気がつくと見知らぬ神社に迷い込んでいた。
その社は様々な過去を背負った、霊験のご利益を求める者のみが辿り着く、浮世と冥土の狭間、『鎮守の社』。
そんな魂を導き、救うために、宮司の楽丸とともに、"あお"は数多の人生を紐解いていく。
それが、"あお"のたつき(生計)。
吉原や遊女、浮世と冥土の狭間といったキーワードから結構重苦しいダークな作品かと思われるかもしれませんが、たしかに出てくるわだかまりは重いものが多いけれども、そういったものはあまり感じられない。
吉原があった時代の綺羅びやかな空気感や情景、それに対して暗く苦しい部分、その両方を漫画的おもしろさに落とし込んでいます。
古き日本の風景描写の描き込みや、モノに合わせて変わる画風、ふきだまる負の情念の描写等、読んでいて視覚的にも隅々までとてもおもしろい。それでいて全体的にわりとポップめな作風ですが、江戸時代に実在した人物の話なんかも少し出てくる等、様々な時代考証等もしっかりしていて、次はどんな話だろうとワクワクしながら楽しめます。
ぜひともお手にとっていただきたい。
■ 煩悩☆西遊記

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「サンデーGX」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者はクリスタルな洋介さん。
孫悟空・猪八戒・沙悟浄をお共に、真の救済が記されてる経典を得るため天竺を目指す三蔵法師。
その道程で三蔵法師に次々と……ドスケベな試練が襲いかかる!!!!!
仏の道に生きる三蔵法師にとって、貞操を失うということはそれ即ち死を意味する。
三蔵法師は降り注ぐドスケベ試練に負けず、煩悩に打ち克ち、貞操を守り抜けるのか????!?!?!?!?
……。
……?
はい、見ての通り『西遊記』ベースの作品です。どう見ても『西遊記』です。
ドスケベな漫画ではあるのですが、正直これむちゃくちゃおもしろい。
エロ漫画では決してないです。これは強く言いたい。
男子中学生が大喜びしそうな怒涛のスケベ展開が次々起こり、煩悩まみれの三蔵法師はいともたやすく射……発狂寸前に追い詰められますが、その過程や結果に原作『西遊記』へのパロディやリスペクトが多々あり、それがかじった程度ではなくかなりしっかりしています。
読み進めていくとどんどんわかっていくのですが、作者の『西遊記』への理解度がやばい。
恐ろしいまでに知り尽くしてるからこそ描ける内容だと感動すら覚える。
『西遊記』をベースにした作品ってどうにも最後まで熱が続かないというか、残念な感じになりがちな気がするのですが、これは最後までしっかりスケベで哲学的にも原作的にも楽しめそうな予感が初めてしています。
『西遊記』へのリスペクトと理解がとてつもないのは間違いないのですが、ちょいエロ作品であることには変わりないので、その手のものに抵抗がなければぜひ読んでみてほしい。
ふざけているように見えて、実はかなり高度な次元でまとまり、考え込まれた作品です。
■ 税金で買った本

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ヤングマガジン」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。原作はずいのさん、漫画は系山冏さん。
図書館のお仕事系漫画。
ヤンキー・石平くんは小学生ぶりに訪れた図書館で、10年前借りた本をまだ返却していないことを指摘される。その指摘をきっかけに図書館に通うようになり、図書館で働く人々と触れ合ううちに通うどころか働くことになる。
図書館のわりと突っ込んだ裏側がいろいろと見えてくる。「そうなんだ」っていう図書館にある本の取り扱いが出てきたりと、地味に勉強になる。
作者やその友人らの体験談なんかも本編やTIPS等に組み込まれているので、図書館のお仕事がコミカルに描かれてはいるけれど、その大変さが伝わってくる。
それはそれとして人間ドラマ的な部分もしっかりおもしろくておすすめ。
去年のまとめを書いた直後に読んで、これはいいなぁと思ってからちょうど一年くらいが経過しましたが、以降の続刊でもその良さは衰えず。ぜひどうぞ。
■ 妖精のおきゃくさま

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「Webアクション」にて連載されていました。
もしかしたら今後も不定期連載あるのかも?
全2巻で完結済み。作者は脇田茜さん。
ちょっと変わったお仕事系漫画。
洋服やアクセサリーの製造・販売業を営む主人公の前に、不思議な妖精が現れる。
妖精はアサガオを手に、「このお花で洋服を作ってほしい」とお願いし、ふたりで妖精用サイズの洋服を作ることから、綺麗で華やかな洋服をめぐる、人間と妖精の心温まる交流の日々が始まるお話。
1巻完結型で、1冊毎にお話としてはまとまっています。
妖精さん周辺の描写をメインに主人公と妖精さんの関係を、2巻では妖精さんが主人公だけでなく外の世界の人間(子ども)と出会い、触れ合うことで広がる世界を中心に物語が描かれています。心理描写はもちろん、服飾の細かい描写もとても繊細で、とても優しい作品に仕上がっています。
どちらの巻でも妖精さんが健気でまっすぐでとてもかわいらしい。
暖かい気持ちになれるおすすめの一作。
■ ブレス

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「少年マガジンエッジ」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者は園山ゆきさん。
メイクが好きでメイクアップアーティストになる夢を持っていた元モデルの男子高校生・アイア。彼は同じクラスの、自分に自信がなく引っ込み思案な冴えない女子高生・炭谷純とともに学園祭のコンテストに出場することに。周囲は当然、アイアにモデルを期待するが、その役割を入れ替え、普段クラスでは見せない純の魅力をメイクで引き出し学園祭の舞台へ挑みます。それをキッカケにそれぞれのかつての夢や未来に向かっていく、服飾の世界を舞台にした青春物語。
それぞれ秘めたる想いや情熱はたしかにあれど一人では諦めていたものを、他の誰かとの出会いが変えていく。その姿に力をもらえる、とても熱量の籠もった作品です。
コンプレックスすら武器に変え、マイナス同士をかけ合わせてプラスにするタイプ。メイクというなかなか珍しい題材ですが、いろいろな舞台、世界、人に出会い、多くを目の当たりにすることで切磋琢磨していく様子が力強く描かれており、全く知らない分野でもすんなり読めると思います。
まだまだこれから、この先の展開が楽しみな一作です。
■ ひかるイン・ザ・ライト!

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「漫画アクション」にて連載されていました。
全4巻で完結済み。作者は松田舞さん。
アイドルを目指すオーディション・サバイバル、ここに開幕!
銭湯を営む家庭に生まれたごくごく普通の女の子・荻野ひかる。彼女はいつも銭湯を掃除しながら、モップ片手に歌うことが大好きな中学三年生。そんな彼女を中心に、有名な大所帯グループでアイドルをしている友人であり幼馴染の西川蘭、世界的プロデューサーのM・葉山をキーに、一大オーディション「ガールズ・イン・ザ・ライト」が始まり、アイドルとしてデビューするまでの物語。
声量がずば抜けて大きい以外は特に秀でた部分はないけれども、彼女の情熱や夢に向かって努力するその様子の描写がうまく、またテンポがとにかくよく、気持ちよくライトに読めます。
現実でアイドル戦国時代と言われた時代のその先。ごく近代のアイドルとそれを目指す人々の姿を描いたような、そんな作品。
よくある(?)ドロドロした闇や業界に焦点を合わせたような内容ではなく、その名の通り、光のなかで輝く、目を閉じてもまぶたの裏に残るひかる存在が主となる原石発掘タイプの、オーソドックスなアイドル作品です。
■ 誰何 Suika

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「COMICリュウ」にて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はつばなさん。
待望の最新作もやっぱり狂っていた(安心)
「告白に失敗したら存在が消える」という謎の怪現象が若者の間で大流行。むっちゃモテる主人公のあやかちゃんは今日も告白をお断りし、無事男子を消滅させてしまう。怪奇現象が起因となって起きていることは、ほんわかしていますが実のところ死に近い。でも周りは「あーあまたやっちゃった」くらいの感想。この作品ではそんなことはあくまで日常の範囲内。
そんな怪現象解決のカギを握るのは、「自分がアイドルになって、推してもらうこと」。その理由は作中にあります。紆余曲折というほどのことはないけれど、アイドル部を設立し、5人の女の子たちはアイドルを目指して、やれるだけのことをやって頑張る!
そんな、かわいさとポップさで隠しきれない狂気に満ち溢れたアイドルモノです。正直この先どうなるのか全くわからない。
だって、つばな作品だもの。
これぞ、つばな作品。
PO!
■ 薫る花は凛と咲く

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「マガジンポケット」にて連載中。
現在第5巻まで発売中。作者は三香見サカさん。
年明けすぐ(2023年1月6日)に第6巻が出ます。
バカが集まる底辺男子校・千鳥高校と、由緒正しきお嬢様校・桔梗女子。隣接するこの二つの高校に通う、強面で物静かな千鳥高校の紬凛太郎と、凛太郎の実家のケーキ屋手伝い中にお客として来ていた桔梗女子の和栗薫子。そんな、近くて遠い二人が織りなす青春学園物語。
千鳥側の主人公は特別ものすごいヤンキーだったり、対する桔梗側の主人公は超絶高嶺の花なお嬢様……というわけでは全くなく、いい意味で双方タイプは違えど、とても素朴。そんななんでもない、普通にそのあたりにいて、普通にその学校に通う初々しい二人のやり取りがとにかく微笑ましい。彼ら・彼女らが入学するよりもずっと前から存在する学校同士の軋轢にも負けず、いろいろな壁を乗り越えて、少しずつ距離が近づく様子から目が離せない。
薫子がむっちゃかわいいのはもちろん、凛太郎もドがつくピュアさでかわいい。
アニメ化よりもドラマ化しようぜ、って感じの作品。
私のことをよく知る人は「これが今年最も"癖"に刺さったのでは」と感じていただけると思います。
■ 恋と千里眼と青二才

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「ヤンマガWeb」にて連載されていました。
全2巻で完結済み。作者は御家かえるさん。
未来を見通す「千里眼」を持つエスパーJKと、そんな彼女にデレデレのショタ(と言っても男子中学生)。ファーストコンタクトでは彼女と少年は未来で結婚するはずだったのだが、その後ふたりで過ごしていくなかで起きる様々な些細なきっかけで少年の未来像がどんどん変わっていき、はじめに見通したものとはかけ離れたものになっていく……。その未来に揺れ動く彼女と少年の恋の行方は?
なるほどなるほど~って読んでいたら全2巻で完結した。話中で未来がいともたやすく、ころころと変わっていくので、次の話でどう軌道修正するのか?そもそもできるのか?といった感じで楽しめます。途中で新キャラが出てきはするものの、あくまでもエスパーJKと少年のふたりの狭い世界を描いた作品なので、全2巻で完結したのはちょうどいい塩梅だったかもしれない。無駄なく綺麗にまとまってます。
特別何かが新しいとか、そういうものはあまりないけれど、デザインやまとまり具合等すべてひっくるめて個人的にむっちゃ好きなお漫画でした。
……あと、千里眼を第3の目としておでこへ配置した作者は何かしらの賞を受賞するべき。
これによってどのページでも常に金髪おでこを拝むことができる。
これはまさしく天才の所業である。ありがとうございました。
■ ぷにるはかわいいスライム

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ウェブコミック配信サイト「週刊コロコロコミック」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者はまえだくん。
挙げたら負けかなと思った。でも勝てなかった。
はい、インターネットの大きな子どもたち(コロコロキッズ)みんな大好きぷにる。
コロコロ初(ほんまか)のラブコメとして始まった本作ですが、ただそういう話題性だけでなく、ラブコメ漫画としてちゃんと面白い。そんなところも面白い。新キャラやぷにるの新フォーム(言い方)が次々と出てきますが、そのどれもがコロコロらしさを保ちつつも、作者の癖(へき)がダダ漏れで実に素晴らしい。
定期的に「ホビー好き」(読み:コロコロキッズ)、「うんこちんちん」(読み:コロコロコミック)、「メンタル小学生」(読み:メンタルコロコロキッズ)といった、忍○と●道じみたルビが振られるのも面白い。
いろいろ読み漁った果てで、まさかうんこちんちん(コロコロ)キッズの頃に読んでいたコロコロコミックに戻ってくるとは……。
それはそうと、カビぷにるください(癖)
■ 異世界猫と不機嫌な魔女

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「やわらかスピリッツ」「マンガワン」にて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者は柏葉ヒロさん。
むっちゃデカい猫と孤独なおばちゃん魔女の叙情ファンタジー。
これは、ねこちゃんの異世界転生。
その昔、魔王を滅ぼし世界を救った偉大な魔道士だったが、平和な世界の訪れと共にそんな功績も忘れ去られ、挙げ句腫れ物扱いまでされてしまう。いまでは人里離れた森のなかで静かに生活を送るそんな彼女が人生最後の召喚として呼び出したのは……むっちゃデカいねこ。とにかくデカい。家のドアを開けたらねこの毛に埋もれるレベル。
なんとこの世界、ねこという概念が存在しません。なんて世界だ……。なので、召喚されたねこは"得体の知れないモンスター"なのです。そんなモンスターと「魔女」として恐れられる老婆、互いにとって決して生きやすいとは言えないこの世界で、寄り添いあいながら生きていく一人と一匹を中心に物語が展開していきます。
第1巻のまとまり具合が非常によくて、これで終わりかと思うくらい。ここで終わっとけば、なんてことは全くなく、第1巻の感触がよかったらその先も十分楽しめると思います。
■ 廃バスに住む

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「WebComic アパンダ」にて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者はイチヒさん。
超超超個人的に好きな作品。
住んでいた部屋が雨漏り修繕のために出なければならなくなったむちゃくちゃマイペースで美人な教師。そんな彼女は学校のすぐそばにあった廃バスを見つけ、そこに住み着くお話。
あまりにもタイトル通り。あまりにも緩い。廃バスに女性がひとりで住むだなんて大きな事件が起きそうだけれども、そんなことは全くなく。生徒と一緒に勉強したり、廃バスのなかで見つけたゲーム○ーイでポ○モン的なゲームを遊んでみたり、外で肉を焼こうとしてみたり……。
小さな頃に自分たちしか知らないであろう空間や秘密基地で遊んだ、あの日の空気のにおいを懐かしめる……かもしれない。
そんな雰囲気を楽しむアンビエント生活お漫画。
■ 鍋に銃弾を受けながら

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
「コミックNewtype」にて連載中。
現在第2巻まで発売中。原作は青木潤太朗さん、漫画は森山慎さん。
「治安の悪い場所の料理は美味い」
これは、釣り好きで世界中のあちこちを旅した作者の実体験に基づくノンフィクショングルメリポート漫画。ノンフィクションなんですよこれ。
作中に登場する美少女はすべておっさんですが、二次元の過剰摂取によって脳が破壊された作者の幻覚により、周囲すべての人が美少女に見えてしまうため、登場人物は皆美少女として描かれています。何を言ってるんだ?
危険地帯に赴く……と言っても、たとえば紛争地域のような銃弾が飛び交っているような意味での危険地帯ではなく、他所の国から来た旅行者が夜中に一人で歩いてたら危ないぜ的な危険地帯です。グランド・セフト・オート的な感じ。
そんなロケーションやおっさん的美少女の楽しさもあるのですが、肝心のグルメリポートの部分がかなりしっかりしています。毎話、その話に出てくるヤバ地域めちゃウマ料理レシピを丸ごと1~2ページ使って紹介していたり、味のたとえ等がすごくわかりやすく、その料理についての情報がスッと入ってくるし想像もしやすい。アマゾンのジュースむっちゃ飲みたい。
ただただかわいい女の子がおいしい料理を食べて、恍惚とした表情を浮かべるような作品とは全く違う。たくさんの人の目にとまってほしい作品。
ちなみに今のところ、鍋に銃弾は受けていない。
今年も最終的にそれなりの数になってしまった。仕方ないね。
これが既に厳選されたリストですが、このなかでも更に、特に、「せめてこれだけでもいいから読んでって」のを挙げるなら、『フールナイト』『あおのたつき』『薫る花は凛と咲く』『鍋に銃弾を受けながら』かな。
あいも変わらずジャンルがてんでバラバラですが、そんな感じで2022年に読んだなかでよかったやつでした。
余裕があったら、過去挙げた作品のなかから「いまも継続してむっちゃおもしろいやつ」をまとめたりしたい……。
今年もKindleにカート機能が実装されなかった。
どうして……。
2021.12/31(Fri)
このお漫画めっちゃよかったよ2021special
今年もグッドお漫画フェスのお時間です。
R氏だよ。
今年読んだお漫画で「あーこれめっちゃいい」ってなったやつをフンフンと置いていくよ、の2021年specialバージョンです。
昨年「2019年のは無いし、来年もやるとも言っていない」と書いてからの2021年版です。
やったね。
いまからでも手を伸ばしやすいよう、なるべく発行巻数が少ない(5巻未満)作品を選んだよ。
2021年版と言っても、2021年に連載開始・第1巻が発売したものだけというわけではなく、2021年に新しく読んだ・積みを崩したなかでよかったものを選んでるよ。
掲載順に意味はない……けれど、ある程度ジャンルや雰囲気で固めて並べてはあるよ。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
※ ストアへのリンクは今回からKindleのみにしています。その他ストアはお手数ですが、各自検索のうえお探しください。
・去年のやつ
このお漫画めっちゃよかったよ2020special
( -v-)...INDEX...
■ 峠鬼

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ハルタにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者は鶴淵けんじさん。
古代日本、飛鳥時代を舞台にした古代神話をベースにSF要素等も加えた伝奇ファンタジー。
世の中のありとあらゆる事柄は神の思惑次第と信じられていた時代。
民は生身の人間を生贄として捧げ、神々の機嫌をとっていた。
ある日ひとりの少女に白羽の矢が立ち、そんな生贄に選ばれてしまう。
神事の前日、少女の住む村に道士・役行者とそのお供二人が訪れます。
この出会いが、生贄として命を捧げるその時を待つしかなかった少女の運命を変えることになる、が……。
日本の古代神話をベースにしていることもあり、役小角や前鬼・後鬼といった実際の歴史にも存在する名が出たり出なかったりします。それらを知らなくても楽しめるし、知ると漫画の見え方がまた違ってきたり、より深い真相に気づける・理解できる(あの人は歴史上の人物でいうと実は○○天皇だから、つまりはこのセリフで言及している人物は……みたいな)構造になっており、何度も読めて何度も楽しい作品です。
話の持っていき方というか、漫画的な話の展開の仕方がとにかくうまく、読んでいて非常に楽しい。あと妙が可愛い。
まぁとりあえず第一話を読んでみてほしい。頼む。
今年イチの大当たりだった。1・2巻が出たあたりで買って放置してた当時の自分を問い詰めたい。
■ 太陽と月の鋼

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☆ 第1巻: Kindle
ビッグコミックスペリオールにて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者は松浦だるまさん。
舞台は日本、天保時代。
ある事情により金属を手にすることができない(持てない)下級武士。この時代に刃物が持てない武士とはつまり致命的であり、仕事も金もない状態が続く。そんな事情が祟っていざこざに巻き込まれ、「もう死んでもいいか」といろいろ諦めたところに謎の女性が現れ、その女性をめぐる下級武士と陰陽師の戦いが始まる……的な。
紙面の躍動感が凄まじく、それでいて場面描写もわかりやすく、ぐいぐい読み進められてしまう。一度ハマると抜け出せなくなるぞ。
徐々に世界や人物などが明らかになっていくそのスピード感もちょうどよく、1巻を読んでいたと思ったら、いつの間にか3巻まで読み終わっていたほど。
今年イチ動いてるところが見たくなった作品。
■ 虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
週刊ヤングマガジンにて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者はippatuさん。
核戦争で敗北した260年後の「旧日本」と呼ばれる日本が舞台。ある国が死刑囚たちを送り込み、その旧日本に眠る兵器を回収しようとします。核戦争を経て変わり果てた姿となった日本。その風景にかつてのヒトの姿はなく、闊歩するは謎の進化を遂げた鳥や猿。死刑囚はその地に残されたものを手にサバイバルするなかで、並外れた脚力とパワーを持つ鳥脚の少女と出会う……。
少しずつマップが広がっていく感じや、未知の生物の縄張りに踏み込んでしまったりするなど、オープンワールドゲーム的な感覚で読める作品。残留する情報から少しずつ世界(旧日本)の実態がわかっていきます。そういった手探りで視界を広げていくものが好きな方にはおすすめ。
この世界で特に明らかな異物である鳥脚の少女・つぐみがいいアクセントとなり、物語に緩急をつけていておもしろい。13歳なのもかわいい。
こういうこと・世界なんだろうなというものがある程度見えてきた第3巻。
今度はどんな未知と道中で出会うのかが楽しみな作品。
■ ダンジョンの中のひと

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
webアクションにて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者は双見酔さん。
RPGで必ず登場するダンジョン、その裏側。
普段ゲームをやっていて、「この宝箱って誰が置いたんだろう……」「ここにいつもいる敵・ボスは普段何をしているのだろうか」などと思ったことが一度はあるでしょう。ない?
そんな疑問をそのまんま漫画に落とし込んだような作品です。
ダンジョンを運営・管理する側は何を考え敵となる存在や宝箱を配置しているのか、敵は普段何をして何を思っているのか、どんな生活をしているのか……そんな裏側の日常が垣間見えます。
ダンジョン自体はわりとオールドスタイルなダンジョンですが、FAXを使って運営とやり取りするモンスターなど、いまどき(FAXっていまどきか?)な風景もあったり、そのギャップもおもしろい。
読めば「なるほど」と思わせられる、なかなかおもしろい作品。
■ この世界は不完全すぎる

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☆ 第1巻: Kindle
コミックDAYSにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者は左藤真通さん。
主人公が体験型のゲームからログアウトできなくなってしまう話。
他と大きく違うのは、主人公が一般プレイヤーではなくデバッガーであること。
いわゆるデバッグモードやゲームバグのあるあるネタも散りばめられていて、それらが物語世界においても、物語においてもうまく作用しています。
立ちはだかる敵対勢力などへの立ち向かい方も、ただ戦うだけではなく、定期的にデバッグを行い、この世界のバグをいろいろ知っているが故の手段や仕様の隙をつくような方法で対抗・攻略する場面等もあり、なかなかおもしろい。
敵となるキャラクターが軒並み結構胸くそ悪い言動をしてくるので、苦手な人には結構苦手かもしれない。
けれども、それも含めての「不完全な世界」なのかも。
ちょっと変わった異世界モノを読んでみたい方へおすすめ。
■ 珈琲をしづかに

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☆ 第1巻: Kindle
モーニング・ツーにて連載されていました。
現在第5巻まで発売中、完結済み。作者はみやびあきさん。
珈琲の雑学がいろいろ身につくタイプの漫画ではなく(ゼロではない)、「大人」に憧れて喫茶店に入った男子高校生が、和服の似合う喫茶店の女性マスターに恋をする漫画。
珈琲の味がわかるようになったら「大人」だなんて言うけれど、これはそんなまだ「大人」になりきれないふたりが家族や友人、お客さん等、様々な人と関わるなかで、過去との折り合いをつけたり、気持ちに気づいていく成長過程を柔らかく・優しく描いていた作品です。
心がかき乱されるような展開やぶつかり合いは無く、読んでいると穏やかな時間が流れるお気に入りの喫茶店にいるような感覚にもなる、あたたかさに満ち満ちています。
最後の最後、カバー裏まで含めて「いい作品を読んだなぁ」と最高の読後感があった。
■ クプルムの花嫁

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ハルタにて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者はNamoさん。
1枚の銅板を鎚で打ち延ばして作る鎚起銅器の職人と金髪ギャルの幼馴染日常ラブコメ。
実際に金属加工業が盛んな新潟県の燕三条を舞台としており、銅器を作る様子だけでなく、食生活等、随所から取材の緻密さが感じられます。
ちなみに、ギャルと言っても、金髪ピアス程度で素直でかわいらしい女の子です。なんなら口数の少ない主人公もかわいい。無口男子と明るい女子の組み合わせ、いいですよね……。
そんなかわいいふたりが微笑ましく、銅器職人の世界を通じて関係を深めていく作品。
ゆっくりと、一歩ずつ愛を深めていく。そんな様子が好きな方へ。
ちなみにこれ、電子より紙を勧めます。
理由は触ればわかるし、それが作品のテーマにも繋がってます。(多分)
■ きみが死ぬまで恋をしたい

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ゆりひめ@ピクシブにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者はあおのなちさん。
いま最も感情がぐちゃぐちゃになる百合2021。
身寄りのない子供を兵器として育てる学校が舞台。(重い)
少女たちはそんな学校で、戦争に勝つための手段を教えられ、選ばれたものは戦場へと送り出される。(重い)
これは遊びではなく本当の戦争、当然生きて帰れないことも多い。(重い)
そんな世界/学校で主人公・シーナは、血まみれで帰ってきた女の子・ミミと出会い、ルームメイトになり……。
これは、“死”がすぐ隣りで手招きしている世界で戦い、願う少女たちのお話。
細く儚いキャラクターの境界と美しくも恐ろしい世界と物語が痛々しいほどにマッチしていて、心がグワーッとなること数え切れず。
ただいちゃついてるだけではなく、読んでいて心を乱される美しい百合は最高。
読んでほしい。
躊躇せずぜひ読んでほしい。
■ おとなりの天涯

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☆ 第1巻: Kindle
コミックウォーカーにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はきぃやんさん。サラダボウルはいいぞ。
絵に描いたような(漫画だけに)(?)ブラック企業に務めるOL、ルノ。
仕事に疲れて帰ると、家のバスルームが異世界に繋がっており、そこに住むのじゃロリ・コイチと出会い、あっちとこっちを行ったり来たりするお話。
異世界転生ではなく、異世界と繋がり行き来するタイプなので、ルノ側の世界での話とコイチ側の世界の話が交互に展開します。ルノとコイチ各々にとっての異世界側での不思議な体験をキッカケにふたりの関係が深まったり、自分自身を見つめ直す機会になったりするので、異世界の冒険やおねロリひゃっほーというよりは、それぞれの成長を楽しむ・楽しめる物語だと思います。
片や魔法が飛び交う殺伐とした世界……みたいな異世界ではなく、現実世界と似たような部分が多くを占めている異世界なのが、前述の互いの成長を際立たせる要素にもなっていて、なかなかいい。
疲れたOLとロリの組み合わせは最高!!!
■ フードコートで、また明日。

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
コミックNewtypeで掲載されていた作品。
単行本は全1巻。作者は成家慎一郎さん。
これは、全国各地のフードコートを食べ歩いたりするグルメ漫画ではない。
黒髪ロングと金髪ギャルの女子高生2人(たまに増える)が放課後に近所のフードコートで駄弁る漫画です。
終始、ただそれだけ。だが、それがいい。
向き不向き、好き嫌いが真っ二つに割れる作品だとは思いますので、まずは上記リンクより何話かお読みになられることを推奨。
コロコロと変わる話題、その切り替わりの速さと唐突さ、話の中身のどうでもよさと、そのまぁまぁな盛り上がり具合が、そんな感じだったなぁ……ってなる。
不思議と「もっと見ていたい」と思える、そんな平和な作品。
ちなみに全1巻ではありますが、(その後の動向は全く見えていませんが)続編となるSEASON2も現在執筆中とのこと。
ありがとうございます、生きがいです。
■ ゆうやけトリップ

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☆ 第1巻: Kindle
COMIC FUZにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はともひさん。
新聞部の女の子・茜は不運にも、心霊スポット雑誌をキッカケに学校でみんなが噂するまでに広まった、ご町内心霊スポットの取材を任されてしまう。
彼女は放課後の教室でひとり残っていた転校生・雨村さんに声をかけ、階段と坂の町の心霊スポットの真相を調べるふたりの放課後が始まります。
一話完結形式で、一話一つの心霊スポットの謎を解き明かしていきます。
心霊スポットの謎を解き明かすとは言っても、恐ろしいホラー要素であったり、手に汗握る超常現象との戦い……みたいなものはありません。
どれも真相を知ってしまえば「なんだそんなことか」と言ってしまいそうな、日常のすぐそばに転がっている勘違いから始まったような、優しい怪談。
風景の独特なタッチと書き込みもあいまって、カテゴリ的には怪談漫画なのに、とにかく優しく尊い作品。
ぜひともこのノスタルジーとちょっとのミステリアスが混じり合った、儚い夕焼けを感じてみてほしい。
カラーページの使い方や、各話終わった後に4コマ形式でその一日をしめるというやり方がめっちゃすき。
■ 海が走るエンドロール

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☆ 第1巻: Kindle
ミステリーボニータにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はたらちねジョンさん。
夫と死別したおばあちゃんが65歳にして映画作りを始める話。
十数年ぶりに訪れた映画館で映像専攻の美大生と出会い、おばあちゃんは映画館のスクリーンよりも客席を気にしている姿から彼に「あなたは映画を作りたい側の人間だ」と指摘され、自分に眠っていた気持ちに気づき、物語が動き出します。
おばあちゃんは彼と同じ美大に入り、映像について学んでいくなかで様々な苦しみや喜びと向き合うことになります。そんな心象風景描写に(登場人物の名前にちなんでか)度々海や水を使った表現が出てくるのですが、それがなかなか効果的で美しい。映画の海に飛び込んだおばあちゃんはどこへ向かうのか。
「何かを始めるのに遅すぎることはない。頭ではそうわかってはいても、実行に移すよりも段々と“やらないための言い訳”に逃げることの方が多くなった。」
そんな言葉にちくっときた人にはぜひとも読んでいただきたい作品。
今年一番重くのしかかってきたけれど、気持ちのいい読後感のある作品でした。
そんな感じで12作品をピックアップしました。
初期段階では20作品を越えていましたが、来年以降の展開次第ではここから這い上がってくる作品もあるかも。
このなかで特に今年何度も読み返したのは『峠鬼』と『きみが死ぬまで恋をしたい』。
『峠鬼』の読んでるときのワクワク感は久々に感じたかもしれない。
『きみが死ぬまで恋をしたい』の儚さと心が締め付けられる百合はとにかく性癖です。ありがとうございます。
このなかから、ひとつでも読んでよかったと思える作品があれば幸いです。
ぜひ手にとってみてほしいです。
それではよいお漫画を、よいお年を。
…
…
…
Kindle氏へ
カート機能まだですかね?
ぼくより
R氏だよ。
今年読んだお漫画で「あーこれめっちゃいい」ってなったやつをフンフンと置いていくよ、の2021年specialバージョンです。
昨年「2019年のは無いし、来年もやるとも言っていない」と書いてからの2021年版です。
やったね。
いまからでも手を伸ばしやすいよう、なるべく発行巻数が少ない(5巻未満)作品を選んだよ。
2021年版と言っても、2021年に連載開始・第1巻が発売したものだけというわけではなく、2021年に新しく読んだ・積みを崩したなかでよかったものを選んでるよ。
掲載順に意味はない……けれど、ある程度ジャンルや雰囲気で固めて並べてはあるよ。
以降、記事内に出てくるリンクにはすべてアフィリエイト等は無いので、気になったら気軽に反射でポチポチしていこう。
※ ストアへのリンクは今回からKindleのみにしています。その他ストアはお手数ですが、各自検索のうえお探しください。
・去年のやつ
このお漫画めっちゃよかったよ2020special
( -v-)...INDEX...
01. 峠鬼
02. 太陽と月の鋼
03. 虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-
04. ダンジョンの中のひと
05. この世界は不完全すぎる
06. 珈琲をしづかに
07. クプルムの花嫁
08. きみが死ぬまで恋をしたい
09. おとなりの天涯
10. フードコートで、また明日。
11. ゆうやけトリップ
12. 海が走るエンドロール
■ 峠鬼

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ハルタにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者は鶴淵けんじさん。
古代日本、飛鳥時代を舞台にした古代神話をベースにSF要素等も加えた伝奇ファンタジー。
世の中のありとあらゆる事柄は神の思惑次第と信じられていた時代。
民は生身の人間を生贄として捧げ、神々の機嫌をとっていた。
ある日ひとりの少女に白羽の矢が立ち、そんな生贄に選ばれてしまう。
神事の前日、少女の住む村に道士・役行者とそのお供二人が訪れます。
この出会いが、生贄として命を捧げるその時を待つしかなかった少女の運命を変えることになる、が……。
日本の古代神話をベースにしていることもあり、役小角や前鬼・後鬼といった実際の歴史にも存在する名が出たり出なかったりします。それらを知らなくても楽しめるし、知ると漫画の見え方がまた違ってきたり、より深い真相に気づける・理解できる(あの人は歴史上の人物でいうと実は○○天皇だから、つまりはこのセリフで言及している人物は……みたいな)構造になっており、何度も読めて何度も楽しい作品です。
話の持っていき方というか、漫画的な話の展開の仕方がとにかくうまく、読んでいて非常に楽しい。あと妙が可愛い。
まぁとりあえず第一話を読んでみてほしい。頼む。
今年イチの大当たりだった。1・2巻が出たあたりで買って放置してた当時の自分を問い詰めたい。
■ 太陽と月の鋼

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ビッグコミックスペリオールにて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者は松浦だるまさん。
舞台は日本、天保時代。
ある事情により金属を手にすることができない(持てない)下級武士。この時代に刃物が持てない武士とはつまり致命的であり、仕事も金もない状態が続く。そんな事情が祟っていざこざに巻き込まれ、「もう死んでもいいか」といろいろ諦めたところに謎の女性が現れ、その女性をめぐる下級武士と陰陽師の戦いが始まる……的な。
紙面の躍動感が凄まじく、それでいて場面描写もわかりやすく、ぐいぐい読み進められてしまう。一度ハマると抜け出せなくなるぞ。
徐々に世界や人物などが明らかになっていくそのスピード感もちょうどよく、1巻を読んでいたと思ったら、いつの間にか3巻まで読み終わっていたほど。
今年イチ動いてるところが見たくなった作品。
■ 虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
週刊ヤングマガジンにて連載中。
現在第3巻まで発売中。作者はippatuさん。
核戦争で敗北した260年後の「旧日本」と呼ばれる日本が舞台。ある国が死刑囚たちを送り込み、その旧日本に眠る兵器を回収しようとします。核戦争を経て変わり果てた姿となった日本。その風景にかつてのヒトの姿はなく、闊歩するは謎の進化を遂げた鳥や猿。死刑囚はその地に残されたものを手にサバイバルするなかで、並外れた脚力とパワーを持つ鳥脚の少女と出会う……。
少しずつマップが広がっていく感じや、未知の生物の縄張りに踏み込んでしまったりするなど、オープンワールドゲーム的な感覚で読める作品。残留する情報から少しずつ世界(旧日本)の実態がわかっていきます。そういった手探りで視界を広げていくものが好きな方にはおすすめ。
この世界で特に明らかな異物である鳥脚の少女・つぐみがいいアクセントとなり、物語に緩急をつけていておもしろい。13歳なのもかわいい。
こういうこと・世界なんだろうなというものがある程度見えてきた第3巻。
今度はどんな未知と道中で出会うのかが楽しみな作品。
■ ダンジョンの中のひと

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
webアクションにて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者は双見酔さん。
RPGで必ず登場するダンジョン、その裏側。
普段ゲームをやっていて、「この宝箱って誰が置いたんだろう……」「ここにいつもいる敵・ボスは普段何をしているのだろうか」などと思ったことが一度はあるでしょう。ない?
そんな疑問をそのまんま漫画に落とし込んだような作品です。
ダンジョンを運営・管理する側は何を考え敵となる存在や宝箱を配置しているのか、敵は普段何をして何を思っているのか、どんな生活をしているのか……そんな裏側の日常が垣間見えます。
ダンジョン自体はわりとオールドスタイルなダンジョンですが、FAXを使って運営とやり取りするモンスターなど、いまどき(FAXっていまどきか?)な風景もあったり、そのギャップもおもしろい。
読めば「なるほど」と思わせられる、なかなかおもしろい作品。
■ この世界は不完全すぎる

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
コミックDAYSにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者は左藤真通さん。
主人公が体験型のゲームからログアウトできなくなってしまう話。
他と大きく違うのは、主人公が一般プレイヤーではなくデバッガーであること。
いわゆるデバッグモードやゲームバグのあるあるネタも散りばめられていて、それらが物語世界においても、物語においてもうまく作用しています。
立ちはだかる敵対勢力などへの立ち向かい方も、ただ戦うだけではなく、定期的にデバッグを行い、この世界のバグをいろいろ知っているが故の手段や仕様の隙をつくような方法で対抗・攻略する場面等もあり、なかなかおもしろい。
敵となるキャラクターが軒並み結構胸くそ悪い言動をしてくるので、苦手な人には結構苦手かもしれない。
けれども、それも含めての「不完全な世界」なのかも。
ちょっと変わった異世界モノを読んでみたい方へおすすめ。
■ 珈琲をしづかに

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
モーニング・ツーにて連載されていました。
現在第5巻まで発売中、完結済み。作者はみやびあきさん。
珈琲の雑学がいろいろ身につくタイプの漫画ではなく(ゼロではない)、「大人」に憧れて喫茶店に入った男子高校生が、和服の似合う喫茶店の女性マスターに恋をする漫画。
珈琲の味がわかるようになったら「大人」だなんて言うけれど、これはそんなまだ「大人」になりきれないふたりが家族や友人、お客さん等、様々な人と関わるなかで、過去との折り合いをつけたり、気持ちに気づいていく成長過程を柔らかく・優しく描いていた作品です。
心がかき乱されるような展開やぶつかり合いは無く、読んでいると穏やかな時間が流れるお気に入りの喫茶店にいるような感覚にもなる、あたたかさに満ち満ちています。
最後の最後、カバー裏まで含めて「いい作品を読んだなぁ」と最高の読後感があった。
■ クプルムの花嫁

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ハルタにて連載中。
現在第2巻まで発売中。作者はNamoさん。
1枚の銅板を鎚で打ち延ばして作る鎚起銅器の職人と金髪ギャルの幼馴染日常ラブコメ。
実際に金属加工業が盛んな新潟県の燕三条を舞台としており、銅器を作る様子だけでなく、食生活等、随所から取材の緻密さが感じられます。
ちなみに、ギャルと言っても、金髪ピアス程度で素直でかわいらしい女の子です。なんなら口数の少ない主人公もかわいい。無口男子と明るい女子の組み合わせ、いいですよね……。
そんなかわいいふたりが微笑ましく、銅器職人の世界を通じて関係を深めていく作品。
ゆっくりと、一歩ずつ愛を深めていく。そんな様子が好きな方へ。
ちなみにこれ、電子より紙を勧めます。
理由は触ればわかるし、それが作品のテーマにも繋がってます。(多分)
■ きみが死ぬまで恋をしたい

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ゆりひめ@ピクシブにて連載中。
現在第4巻まで発売中。作者はあおのなちさん。
いま最も感情がぐちゃぐちゃになる百合2021。
身寄りのない子供を兵器として育てる学校が舞台。(重い)
少女たちはそんな学校で、戦争に勝つための手段を教えられ、選ばれたものは戦場へと送り出される。(重い)
これは遊びではなく本当の戦争、当然生きて帰れないことも多い。(重い)
そんな世界/学校で主人公・シーナは、血まみれで帰ってきた女の子・ミミと出会い、ルームメイトになり……。
これは、“死”がすぐ隣りで手招きしている世界で戦い、願う少女たちのお話。
細く儚いキャラクターの境界と美しくも恐ろしい世界と物語が痛々しいほどにマッチしていて、心がグワーッとなること数え切れず。
ただいちゃついてるだけではなく、読んでいて心を乱される美しい百合は最高。
読んでほしい。
躊躇せずぜひ読んでほしい。
■ おとなりの天涯

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
コミックウォーカーにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はきぃやんさん。サラダボウルはいいぞ。
絵に描いたような(漫画だけに)(?)ブラック企業に務めるOL、ルノ。
仕事に疲れて帰ると、家のバスルームが異世界に繋がっており、そこに住むのじゃロリ・コイチと出会い、あっちとこっちを行ったり来たりするお話。
異世界転生ではなく、異世界と繋がり行き来するタイプなので、ルノ側の世界での話とコイチ側の世界の話が交互に展開します。ルノとコイチ各々にとっての異世界側での不思議な体験をキッカケにふたりの関係が深まったり、自分自身を見つめ直す機会になったりするので、異世界の冒険やおねロリひゃっほーというよりは、それぞれの成長を楽しむ・楽しめる物語だと思います。
片や魔法が飛び交う殺伐とした世界……みたいな異世界ではなく、現実世界と似たような部分が多くを占めている異世界なのが、前述の互いの成長を際立たせる要素にもなっていて、なかなかいい。
疲れたOLとロリの組み合わせは最高!!!
■ フードコートで、また明日。

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
コミックNewtypeで掲載されていた作品。
単行本は全1巻。作者は成家慎一郎さん。
これは、全国各地のフードコートを食べ歩いたりするグルメ漫画ではない。
黒髪ロングと金髪ギャルの女子高生2人(たまに増える)が放課後に近所のフードコートで駄弁る漫画です。
終始、ただそれだけ。だが、それがいい。
向き不向き、好き嫌いが真っ二つに割れる作品だとは思いますので、まずは上記リンクより何話かお読みになられることを推奨。
コロコロと変わる話題、その切り替わりの速さと唐突さ、話の中身のどうでもよさと、そのまぁまぁな盛り上がり具合が、そんな感じだったなぁ……ってなる。
不思議と「もっと見ていたい」と思える、そんな平和な作品。
ちなみに全1巻ではありますが、(その後の動向は全く見えていませんが)続編となるSEASON2も現在執筆中とのこと。
ありがとうございます、生きがいです。
■ ゆうやけトリップ

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
COMIC FUZにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はともひさん。
新聞部の女の子・茜は不運にも、心霊スポット雑誌をキッカケに学校でみんなが噂するまでに広まった、ご町内心霊スポットの取材を任されてしまう。
彼女は放課後の教室でひとり残っていた転校生・雨村さんに声をかけ、階段と坂の町の心霊スポットの真相を調べるふたりの放課後が始まります。
一話完結形式で、一話一つの心霊スポットの謎を解き明かしていきます。
心霊スポットの謎を解き明かすとは言っても、恐ろしいホラー要素であったり、手に汗握る超常現象との戦い……みたいなものはありません。
どれも真相を知ってしまえば「なんだそんなことか」と言ってしまいそうな、日常のすぐそばに転がっている勘違いから始まったような、優しい怪談。
風景の独特なタッチと書き込みもあいまって、カテゴリ的には怪談漫画なのに、とにかく優しく尊い作品。
ぜひともこのノスタルジーとちょっとのミステリアスが混じり合った、儚い夕焼けを感じてみてほしい。
カラーページの使い方や、各話終わった後に4コマ形式でその一日をしめるというやり方がめっちゃすき。
■ 海が走るエンドロール

★ 第1話: ここで読めます
☆ 第1巻: Kindle
ミステリーボニータにて連載中。
現在第1巻が発売中。作者はたらちねジョンさん。
夫と死別したおばあちゃんが65歳にして映画作りを始める話。
十数年ぶりに訪れた映画館で映像専攻の美大生と出会い、おばあちゃんは映画館のスクリーンよりも客席を気にしている姿から彼に「あなたは映画を作りたい側の人間だ」と指摘され、自分に眠っていた気持ちに気づき、物語が動き出します。
おばあちゃんは彼と同じ美大に入り、映像について学んでいくなかで様々な苦しみや喜びと向き合うことになります。そんな心象風景描写に(登場人物の名前にちなんでか)度々海や水を使った表現が出てくるのですが、それがなかなか効果的で美しい。映画の海に飛び込んだおばあちゃんはどこへ向かうのか。
「何かを始めるのに遅すぎることはない。頭ではそうわかってはいても、実行に移すよりも段々と“やらないための言い訳”に逃げることの方が多くなった。」
そんな言葉にちくっときた人にはぜひとも読んでいただきたい作品。
今年一番重くのしかかってきたけれど、気持ちのいい読後感のある作品でした。
そんな感じで12作品をピックアップしました。
初期段階では20作品を越えていましたが、来年以降の展開次第ではここから這い上がってくる作品もあるかも。
このなかで特に今年何度も読み返したのは『峠鬼』と『きみが死ぬまで恋をしたい』。
『峠鬼』の読んでるときのワクワク感は久々に感じたかもしれない。
『きみが死ぬまで恋をしたい』の儚さと心が締め付けられる百合はとにかく性癖です。ありがとうございます。
このなかから、ひとつでも読んでよかったと思える作品があれば幸いです。
ぜひ手にとってみてほしいです。
それではよいお漫画を、よいお年を。
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Kindle氏へ
カート機能まだですかね?
ぼくより
2021.05/26(Wed)
ペーパー?いいえ、これは本です。/最高のフォーマット『4ページ同人誌』のススメ
八ツ橋グミうまい。
R氏です。
突然ですが
■ 4ページ同人誌ってご存知?
皆さん、4ページ同人誌というフォーマットをご存知でしょうか。
ご存知ないですね。
過去なんとなく思いついて、弊サークルにて二度このフォーマットで本を作ったことがあるのですが、これが思いの外いいフォーマットだったので、それに関するTIPSのような雑感等をつらつらと書き残しておこうと思います。
ちなみに、現物はこういう感じのものです。

……まぁあの、世間一般ではペーパーと呼ばれる部類のものです。
が、いえ、これは「4ページの同人誌」です。
誰になんと言われようとも、これは「4ページの同人誌」です。
■ どうやって作るの?
実際にやった印刷仕様は下記の通りになります。
印刷種別・方法としては、(呼称は印刷所によりますが)いわゆるチラシ印刷でいけます。
用紙はあまり厚いものを選ばないほうがいいです。折れない紙は無いですが、あまり厚い紙だと折り目の紙の割れ目が目立つ可能性があります。でも、あまり薄い紙を選ぶとあまりにもペーパー過ぎるので、いつも選んでるものよりも一段階厚めくらいがちょうどいいかもしれません。
一番気をつけてほしい点としては、用紙サイズです。最終的に一般的な同人誌のサイズ(B5縦)にしたいのであれば、B4横で印刷してください。(半分に折るとB5縦と同等になります)
ここをミスると思ってたサイズと違うものになってしまうので、半分に折った時に自分のやりたいサイズになるのはどの大きさか?をしっかり調べてから始めましょう。
印刷費としては両面フルカラーのオフセットで刷ってもこれで数千円です。(セールや紙の在庫状況、情勢によって上下します)
オフセットにしても大して変わらないので、オフセット推奨。紙をいわゆる高級紙(高級紙!)にしても、ものによりますが印刷費の桁数が変わるレベルの劇的な変化はありません。印刷所から請求した紙サンプルでしか見たことなかったような、めっちゃいい手触りの紙や最高の見た目の特殊紙で本が作れるチャンスでもあります。ぜひこだわってみてほしいです。
■ 4ページ同人誌のなにがいいの?
簡単にメリットを並べてみます。
まず、普通に一冊作るよりも圧倒的にカロリーオフというのは大きい。とはいえ、気持ちとしては普通に一冊作るくらいの意気込みで望むのがよいです。「今回4ページだし……」だなんて決して思わないことだ!な!本を作ったことがある人なら、その気持ちが後々どうなるかわかるだろ!?
初ジャンルでの探りを入れるのに最適。たとえば今回の頒布場所が自分にとって初めてのジャンルだった場合。いきなりノーマルな一冊を用意するのもいいですが、「まずはちょっと探りを入れてみたい……」「まずはこのテーマだけについてミニマムに始めていきたい」という時に、ぜひこのフォーマットをやってみてください。ペーパー以上のものを作れば、そのジャンルでスタートラインを切った自分の気持ち的にもいろいろ違ってくると思います。
あと実際やってみて一番ありがたかったのが、自宅からの搬入のしやすさ。100部用意したとしても、実際には200枚分くらいの厚さしかないので、持ち運びがめちゃくちゃ楽。在庫を持ち帰るのはもっと楽。
印刷面でもいい点があります。通常だと、表紙の紙は何にして加工はどうして、本文用紙はこれで……みたいなステップがありますが、4ページ同人誌の場合は基本的に「紙はこれ」、以上です。
もちろんやろうと思えば、折り加工(納品時にあらかじめ2つ折りにしてくれること、後述します)や角丸加工(四隅を丸く切ってもらうこと)などやれることはいろいろありますが、ミニマムにやるのならまじで「紙はこれ」で終わります。
とは言うもののせっかくなら何か……と思われた方は、普段の上質紙やコート紙とは違った少し高めの紙を選んでみることをおすすめします。普通の本とはページ数が桁違いなので、そんなちょっといい紙を選んでも印刷費が跳ね上がることもありません。(ものによりますが)
そこにこだわると、ペーパーだと思って手にとってくれた100人中50人くらいには(お……?これ思ったよりも……)と思ってもらえます。実際に自分が作って頒布したときも、わざわざスペースに戻ってきて「思ったよりも全体の質感がよかった」みたいなことを言ってくれる方がいました。ありがたいですね。
そしてこれ、個人的に結構でかい気がするのですが、再販が容易です。そもそもとして、このフォーマットは少部数(50~100部程度)で頒布するためのものですが、思ったよりもウケがよくて次回参加時に新刊のお供に少し追加して持ち込みたいといった時に、普通なら再販という最もリスキーな行為もこれなら元が安いので(そこまで)痛くありません。
私も2回目の4ページ同人誌はその後再販をしたことがあります。
■ いいのはわかったけど、デメリットはないの?
当然あります。
どう見てもペーパーです。本当にありがとうございました。
……それは事実ですが、諦めてはいけない。
そう、これは本なのです。大事なのは、冒頭にも書いたように、誰になんと言われようとも、これは「4ページの同人誌」です、という気持ちを強く持つことです。
実際に即売会で「新かn……このペーパーを1枚」みたいに言われても、「新刊一部ですね!!!!!○○円です!!!!!」と元気に受け答えしましょう。作者がそうある限り、それは間違いなく「4ページの同人誌」なのです。狂ってるくらいがちょうどいい。
ただこのフォーマットに慣れきってしまうのもアレなので、たまにやるくらいにとどめたほうがいい気はします。
あと4ページなので、掲載内容についてあれもこれもというわけにはいきません。「16ページ予定だったけど作り始めたらいろいろあって24ページになってしまった」みたいなことは絶対に許されないフォーマットです。事前にしっかりと、「今回はこのことについてミニマムにしっかり簡潔に伝える・まとめる」ということを決めてから挑みましょう。そういった力がつくフォーマットでもあるかもしれません。
このフォーマットの宿命であり、最大の萎え要素。それが折り作業です。最終的なサイズの2倍の大きさでチラシ印刷をするので、それが届いてから自分で半分に折って本の体裁に整える作業が必要になります。これがしぬほどめんどくさい。数十~MAX百部程度の少部数フォーマットとはいえ、やはり100回程度は折って折って折って……ということをしなければなりません。40/100に来たくらいで「なんだこれは……」という気持ちになります。
印刷所によっては、先述した折り加工や折り目をつけた状態(実際には折られていない)で納品してくれるオプションが選べる場合もありますが、基本的に有償オプションであるのと、そういった加工は思った以上の印刷費のプラスになるので、そこは届いてから頑張って自分で折ったほうがいいです。折ったときの多少のズレも手作り感という味になります。
1,000部とか10,000部とかじゃない、たった数十~MAX百部程度、ちょっと頑張りゃ終わる……と自分に言い聞かせて最後の作業を頑張ろう。
そして、リアルイベントが開催されづらい昨今において結構な逆風なのですが、この4ページ同人誌は店舗への委託頒布や通販に全く向いていません。あと自家通販しようにも、送料が本誌頒布価格の何倍にもなってしまいます。頒布価格が1部100円だとして、たとえばBOOTHのあんしんBOOTHパックで頒布しようものなら、3.7倍の送料が発生します。さすがにちょっと……感がある。
なので、このご時世にこんな記事をここまで書いておきながらアレなのですが、これはリアルイベントでの頒布に適したフォーマットなのかもしれません……。
■ いかがでしたか?
4ページ同人誌の素晴らしさや注意すべきところが伝わっていれば幸いです。
ちなみに、これは自分がお世話になった印刷所のTwitterアカウントのツイートなのですが
これを見た瞬間、(あれ、私信かな?)と思ってしまった。
そう。4ページ同人誌、もはやこれは印刷所に認められたフォーマットと言っても過言ではないのです。
「ちょっとなにか作ってみようかな……」「いきなり16ページはしんどい」という人に適した簡易フォーマット、4ページ同人誌。
これは様々な可能性を秘めていると思います。
そのジャンルで初めて出す本でもいいし、なんなら初めて作る同人誌がこれでもいいかもしれません。
4ページだからといって決してお手軽とは言い切れませんが、なにかを「作ったぞ!」という達成感や充足感はしっかり得られます。
もし今、自分のなかに何かをやってみたい気持ちが湧いてきている方がいたら、まずはこのフォーマットで一歩を踏み出してみませんか。
やろうぜ、4ページ同人誌!
結構いいもんだよこれ。
★ちぃちゃいお宣伝★
弊サークルにて作った女性声優・水瀬いのりさんのファンブックをBOOTHにて頒布中です。
4ページ同人誌ははるか昔に完売してしまったのでもうありませんが……。
little slow step - BOOTH
R氏です。
突然ですが
■ 4ページ同人誌ってご存知?
皆さん、4ページ同人誌というフォーマットをご存知でしょうか。
ご存知ないですね。
過去なんとなく思いついて、弊サークルにて二度このフォーマットで本を作ったことがあるのですが、これが思いの外いいフォーマットだったので、それに関するTIPSのような雑感等をつらつらと書き残しておこうと思います。
ちなみに、現物はこういう感じのものです。

……まぁあの、世間一般ではペーパーと呼ばれる部類のものです。
が、いえ、これは「4ページの同人誌」です。
誰になんと言われようとも、これは「4ページの同人誌」です。
■ どうやって作るの?
実際にやった印刷仕様は下記の通りになります。
印刷所:グラフィック/コミグラ
印刷方法:オフセット印刷
印刷種別:B4チラシ・フライヤー
納期:10日納期
印刷仕様:両面カラー
用紙:上質135kg・100枚
印刷種別・方法としては、(呼称は印刷所によりますが)いわゆるチラシ印刷でいけます。
用紙はあまり厚いものを選ばないほうがいいです。折れない紙は無いですが、あまり厚い紙だと折り目の紙の割れ目が目立つ可能性があります。でも、あまり薄い紙を選ぶとあまりにもペーパー過ぎるので、いつも選んでるものよりも一段階厚めくらいがちょうどいいかもしれません。
一番気をつけてほしい点としては、用紙サイズです。最終的に一般的な同人誌のサイズ(B5縦)にしたいのであれば、B4横で印刷してください。(半分に折るとB5縦と同等になります)
ここをミスると思ってたサイズと違うものになってしまうので、半分に折った時に自分のやりたいサイズになるのはどの大きさか?をしっかり調べてから始めましょう。
印刷費としては両面フルカラーのオフセットで刷ってもこれで数千円です。(セールや紙の在庫状況、情勢によって上下します)
オフセットにしても大して変わらないので、オフセット推奨。紙をいわゆる高級紙(高級紙!)にしても、ものによりますが印刷費の桁数が変わるレベルの劇的な変化はありません。印刷所から請求した紙サンプルでしか見たことなかったような、めっちゃいい手触りの紙や最高の見た目の特殊紙で本が作れるチャンスでもあります。ぜひこだわってみてほしいです。
■ 4ページ同人誌のなにがいいの?
簡単にメリットを並べてみます。
メリット
・普通に一冊作るよりもカロリーオフ
・自宅からの搬入が楽
・初ジャンルでの探りを入れるのに最適
・ひとつのテーマについてまとめるのに最適
・ちょっと良い紙を使っても(そこまで)高くない
・ちょっと変わった印刷仕様で刷っても(そこまで)高くない
・再販が容易
まず、普通に一冊作るよりも圧倒的にカロリーオフというのは大きい。とはいえ、気持ちとしては普通に一冊作るくらいの意気込みで望むのがよいです。「今回4ページだし……」だなんて決して思わないことだ!な!本を作ったことがある人なら、その気持ちが後々どうなるかわかるだろ!?
初ジャンルでの探りを入れるのに最適。たとえば今回の頒布場所が自分にとって初めてのジャンルだった場合。いきなりノーマルな一冊を用意するのもいいですが、「まずはちょっと探りを入れてみたい……」「まずはこのテーマだけについてミニマムに始めていきたい」という時に、ぜひこのフォーマットをやってみてください。ペーパー以上のものを作れば、そのジャンルでスタートラインを切った自分の気持ち的にもいろいろ違ってくると思います。
あと実際やってみて一番ありがたかったのが、自宅からの搬入のしやすさ。100部用意したとしても、実際には200枚分くらいの厚さしかないので、持ち運びがめちゃくちゃ楽。在庫を持ち帰るのはもっと楽。
印刷面でもいい点があります。通常だと、表紙の紙は何にして加工はどうして、本文用紙はこれで……みたいなステップがありますが、4ページ同人誌の場合は基本的に「紙はこれ」、以上です。
もちろんやろうと思えば、折り加工(納品時にあらかじめ2つ折りにしてくれること、後述します)や角丸加工(四隅を丸く切ってもらうこと)などやれることはいろいろありますが、ミニマムにやるのならまじで「紙はこれ」で終わります。
とは言うもののせっかくなら何か……と思われた方は、普段の上質紙やコート紙とは違った少し高めの紙を選んでみることをおすすめします。普通の本とはページ数が桁違いなので、そんなちょっといい紙を選んでも印刷費が跳ね上がることもありません。(ものによりますが)
そこにこだわると、ペーパーだと思って手にとってくれた100人中50人くらいには(お……?これ思ったよりも……)と思ってもらえます。実際に自分が作って頒布したときも、わざわざスペースに戻ってきて「思ったよりも全体の質感がよかった」みたいなことを言ってくれる方がいました。ありがたいですね。
そしてこれ、個人的に結構でかい気がするのですが、再販が容易です。そもそもとして、このフォーマットは少部数(50~100部程度)で頒布するためのものですが、思ったよりもウケがよくて次回参加時に新刊のお供に少し追加して持ち込みたいといった時に、普通なら再販という最もリスキーな行為もこれなら元が安いので(そこまで)痛くありません。
私も2回目の4ページ同人誌はその後再販をしたことがあります。
■ いいのはわかったけど、デメリットはないの?
当然あります。
デメリット
・どうあがいても見た目はペーパー(要:本だと言い張る勇気)
・たくさんの話題を扱う紙面的余裕はない
・折るのがしぬほどめんどくさい
・店舗への委託頒布や通販に全く向いていない
どう見てもペーパーです。本当にありがとうございました。
……それは事実ですが、諦めてはいけない。
そう、これは本なのです。大事なのは、冒頭にも書いたように、誰になんと言われようとも、これは「4ページの同人誌」です、という気持ちを強く持つことです。
実際に即売会で「新かn……このペーパーを1枚」みたいに言われても、「新刊一部ですね!!!!!○○円です!!!!!」と元気に受け答えしましょう。作者がそうある限り、それは間違いなく「4ページの同人誌」なのです。狂ってるくらいがちょうどいい。
ただこのフォーマットに慣れきってしまうのもアレなので、たまにやるくらいにとどめたほうがいい気はします。
あと4ページなので、掲載内容についてあれもこれもというわけにはいきません。「16ページ予定だったけど作り始めたらいろいろあって24ページになってしまった」みたいなことは絶対に許されないフォーマットです。事前にしっかりと、「今回はこのことについてミニマムにしっかり簡潔に伝える・まとめる」ということを決めてから挑みましょう。そういった力がつくフォーマットでもあるかもしれません。
このフォーマットの宿命であり、最大の萎え要素。それが折り作業です。最終的なサイズの2倍の大きさでチラシ印刷をするので、それが届いてから自分で半分に折って本の体裁に整える作業が必要になります。これがしぬほどめんどくさい。数十~MAX百部程度の少部数フォーマットとはいえ、やはり100回程度は折って折って折って……ということをしなければなりません。40/100に来たくらいで「なんだこれは……」という気持ちになります。
印刷所によっては、先述した折り加工や折り目をつけた状態(実際には折られていない)で納品してくれるオプションが選べる場合もありますが、基本的に有償オプションであるのと、そういった加工は思った以上の印刷費のプラスになるので、そこは届いてから頑張って自分で折ったほうがいいです。折ったときの多少のズレも手作り感という味になります。
1,000部とか10,000部とかじゃない、たった数十~MAX百部程度、ちょっと頑張りゃ終わる……と自分に言い聞かせて最後の作業を頑張ろう。
そして、リアルイベントが開催されづらい昨今において結構な逆風なのですが、この4ページ同人誌は店舗への委託頒布や通販に全く向いていません。あと自家通販しようにも、送料が本誌頒布価格の何倍にもなってしまいます。頒布価格が1部100円だとして、たとえばBOOTHのあんしんBOOTHパックで頒布しようものなら、3.7倍の送料が発生します。さすがにちょっと……感がある。
なので、このご時世にこんな記事をここまで書いておきながらアレなのですが、これはリアルイベントでの頒布に適したフォーマットなのかもしれません……。
■ いかがでしたか?
4ページ同人誌の素晴らしさや注意すべきところが伝わっていれば幸いです。
ちなみに、これは自分がお世話になった印刷所のTwitterアカウントのツイートなのですが
折れば本だよ!(4ページ)https://t.co/bJI4SWf6Te https://t.co/2WEmW7qS79
— コミグラ🐸同人誌・グッズの印刷なら (@comic_graphic) May 2, 2021
これを見た瞬間、(あれ、私信かな?)と思ってしまった。
そう。4ページ同人誌、もはやこれは印刷所に認められたフォーマットと言っても過言ではないのです。
「ちょっとなにか作ってみようかな……」「いきなり16ページはしんどい」という人に適した簡易フォーマット、4ページ同人誌。
これは様々な可能性を秘めていると思います。
そのジャンルで初めて出す本でもいいし、なんなら初めて作る同人誌がこれでもいいかもしれません。
4ページだからといって決してお手軽とは言い切れませんが、なにかを「作ったぞ!」という達成感や充足感はしっかり得られます。
もし今、自分のなかに何かをやってみたい気持ちが湧いてきている方がいたら、まずはこのフォーマットで一歩を踏み出してみませんか。
やろうぜ、4ページ同人誌!
結構いいもんだよこれ。
★ちぃちゃいお宣伝★
弊サークルにて作った女性声優・水瀬いのりさんのファンブックをBOOTHにて頒布中です。
4ページ同人誌ははるか昔に完売してしまったのでもうありませんが……。
little slow step - BOOTH
2021.03/10(Wed)
そこは紛れもなく“インターネット”だった ~ 「さなのばくたん。 - ていねいなお誕生日会 -」に行ってきた話 #名取爆誕
おはようございナース。
れんちーさんです。
21年3月7日に無事開催された名取さなちゃんのお誕生日会「さなのばくたん。 - ていねいなお誕生日会 -」に参加してきましたので、その記録と感情です。
🍆 まずはコラボカフェへ

6年ぶりの川崎到着後、まずは友人ら4人とエロイーズカフェ川崎さんで開催されていた「さなのばくだんCAFE in エロイーズカフェ川崎」へ。
1~2人での利用が基本っぽい構造だったためか、通された席はまさかの外のテラス席。
感染対策ばっちりだな!と思いつつ、やはり寒い。さなちゃんねる王のダジャレツイート並みに寒くて(重要なので太くしておくね)、全身でコラボを感じられる最高のロケーションでした。あのとき王のダジャレツイートの通知が来ていたら氷漬けになっていたかもしれない、命拾いした。(中もしっかり対策されててあたたかったでよ)
店内にはところ狭しと描き下ろしイラストが展示されていたり、フィギュアをローアングルで見られたり、コラボメニューを紹介している動画が流れていたり……どこを見ても名取がいて「……頑張ってんじゃん、あいつ」ってなりました。ふんっ……。
コラボメニューは放課後名取が友達と……なんだっけ、なんかそういうクッソ長い名前のメニューのドリンクとじゃがいもゴロゴロカレーを注文。大変美味でございました。おっきなじゃがいもがゴロゴロ入ってると嬉しくなっちゃう気持ちがよくわかった。しっかりナスが入ってたのも嬉しい。「名取さなってこういう味かぁ」という気持ちになりました。推しを体内に取り込むと健康にいいと古事記にも書かれていますからね、皆さんも機会があったらぜひ体験しましょう。3月28日までやってるよ。
🍆 タワレコもちゃんと見たでよ

タワレコ川崎店では名取が選んだマストバイなCD10選の展示がありました。見に行ったときには既に半分くらいのCDが完売していた。「どうせ全部ハピ○テだろ」などと思っていたら、結構ガチめに選ばれていたので安心(?)したよ。手書きPOPもあってかわいい。スタンプも2種類あってかわいい。「良い」スタンプがアホほど押されてたPOPもあって、オタク~ってなった。(わかる)
あと店内では『名取さなミュージックコレクション』(Track04とInst.以外)が無限ループで流れてました。(これは3月7日だけかな?)
曲自体は配信でいつでも聴けるけれど、オタクって生き物はやっぱり推しのモノは物理でほしいんよ。手にとって“重み”を感じたいんよ。だから物理リリースが決まって実際に手にした時はやはり嬉しかったし、某ウィルスの影響で様々なものが配信ベースになってきたこの現代だからこそ、こうして推しの重みを手にできた時、忘れかけていたオタクの感情を取り戻したような感覚になったよね。多分だけれど、名取もそういう感覚が同じくあるから、こうして物理リリースしたのも単に曲がある程度溜まったから、っての(ももちろんあるとは思うし、CD1枚で名取の今までの音を知ることができるバイブル的なことをしたかったのもあったと思う)が主じゃないと思うんですよね。だって、そうじゃないと『名取さなミュージックコレクション』なんてタイトルつけないと思うのよ。
あと偶然だと思うけれど、CDの展示のそばにはバチクソリアルなエビのフィギュアのガチャが置いてあったのがおもしろかった。
入り口には『名取さなミュージックコレクション』のトレーラーと宇木敦哉さん描き下ろしイラストの展示も。宇木敦哉さんの名前をこんな形で見る日がくるとはなぁ。センコロール12年前ってマジ?やば……。
🍆 劇場内に潜む名取さな
入場してフラスタを見つついざ座席へ……と思ったところで不意打ちを食らった。なんか妙なポスターが飾ってあるんよ。劇場内に飾られてるポスターって普通、現在公開中の映画だったり、直近公開1ヶ月前後くらいの映画の宣伝ポスターだと思うのですが、そういったポスターが飾られている空間にしれっと、いるんすよ。あの🍆が。
「あれ、なんでジョーズのポスターg……あ"ぁ"?!」という具合で気づき、横を見ると更に某エイリアン映画や某有名モダンホラーやルイー○マンションに影響を与えた某おばけ映画のパロポスターがずらりと……。「なにやってんだうちの推しは……」と頭を抱えてしまった。すき。しかもそれをイベント本編中で一切触れずに、終わってみんなが帰ってからTwitterで「そういやこういうのあったんよ」ってめっちゃ軽く写真をアップするに留めるあたりの制作スタンスに、「そういうとこあるよな」ってすこだなぁと思ってしまう。すきだぞ。
これな。
これのおかげで、他にも名取が紛れ込んでるんじゃないか?と疑心暗鬼になってしまった。最新の映画ポスターも「隅っこにおるんちゃうか……?」と見てしまったり、ジュースの自販機の桃かなにかのピンク色が見えただけで「名取か……?」と見てしまう病気にかかった。許せねぇ。
🍆 そこは紛れもなく“インターネット”だった

やっとイベント本編です。それだけイベント外のところへの仕込みが多かったということで。
開演前は映画が始まる前によくある劇場内での注意やノーモア某的な案内が3人の名取で行われていました。動画撮影はNGだけど写真撮影(スクショ)はOKってあたりに、「普段から好きな女の配信見ながらそういうことしてんやろな」みたいなことを思いつつ、こちらもバシバシ撮ってやりました。どこを切り取ってもかわいかったぞ。


んで開演。
開幕新曲『エッビーナースデイ』を叩きつけてくる名取。てっきり後半に持ってくるかと思っていたのでいきなりアビャ~~~ってなってしまった。かわいい。「誕生日!できたよ!」の歌詞で去年の中止から今までのことを思い出してしまい、始まって数分で「は?泣くが?」となってしまった。
と思ったら、間髪入れずに『ファッとして桃源郷』と『ギミー!レボリューション』をドロップ。『ファッとして桃源郷』のイントロが流れた瞬間「ほんまこの女」と先ほどの泣きそうな姿勢から一転、強い姿勢を取り戻すことができた。まぁ負けたことないんですが。
前者は歌詞の一部をどうするんだ?ショートでごまかすのか?と思っていたら2番が始まって、あかんこのままあの単語を言ってしまったらチネチッタ出禁まである(ない)……と思ったら「おしりかゆい」に変えてきて笑ってしまった。うちの推しがおしり好きすぎて困る。
3曲歌い終わったところで、現地とインターネットのせんせえたち全員を巻き込んでの大喜利の時間。なんで大喜利させられるんですか?こんなお誕生日会もう行きたくありません。(チラッチラッ)
でもこれは名取のほうから殴ってきたからな、こっちも全力でいかせてもらうぞと言わんばかりの回答が勢揃いで終始名取が楽しそうに笑っていたので、こっちも笑顔になっちゃったな……。
「スクリーン○のせんせえ~」に対して「…!…!(棒を振りながら無言のいぇぇぇぇい!!!!)」をやりつつも、名取が「じゃあ~、名取のこと好きなせんせえ~!」に対しては「……(は?別に好きじゃないが?)」と、全スクリーン(3スクリーン)のせんせえたちが事前に打ち合わせたかのように一斉に棒も振らずにスンッ……となるのが、あまりにも普段の配信と同じ過ぎて、今この瞬間、劇場内はたしかにリアルの空間ではあるが、ここはいつものインターネットなんだと感じられたのがとてもよかった。
そう、これなんよ。インターネットのバーチャルな存在として、その枠組みをギリギリのところで越えない狭間の空間を本人とそれを見るものたちで作り上げ、感じられる。だからこそいつもの好きの延長で安心して見ることができて、虚像と実存と記号の中で名取を想うことができるのです。
続いてライブパート2つ目。
『Make it!』と、残念ながら中止になってしまった去年のお誕生日会で歌うはずだった『PINK,ALL,PINK!』を初披露。『PINK,ALL,PINK!』は自分のイベントで歌うまで温め続けてきたらしく、「やっと歌うことができた」という言葉で、またしても「は?泣くが?(泣いてる)」となってしまった。歌詞も今回のために一部変更しての披露で、やはりモモーイは萌えの文化を長く見てきた天才だけのことはあるな……と同じ時代に生まれてよかったと実感。やぁ、00年代を生きた私たちにとってやっぱりモモーイは神、いわゆるゴッドなんですよ。
いやしかし『Make it!』な。好きな女が歌う好きな曲って最強じゃんね。演出まで神のアレでマイク持った瞬間大声出しそうになった。(無言)
お次は解釈一致クイズというなんともなコーナー。(なんともってなんですか?)
PCモニタは何枚使ってるだの、好きなTwitterクライアントは何だの、どーーーでもいいわ(でも推しのことはなんでも知られると嬉しいので嬉しい)みたいな名取の知識を試されるクイズコーナーだった。
TwitterはWebが一番好きちゅてたけど、いや絶対TweetDeck使ってる時間のほうが長いし常用しとるよね?ね???いつも見とるからな(ネトスト)
様々な告知を終えたところで、表の最後の曲であり、今回のお誕生日会のためのサプライズ新曲『アマカミサマ』。
楽曲クレジットは「作詞:只野菜摘/作曲・編曲:田中秀和(MONACA)」。なにがどうなったらそんなクレジットの曲が出てくるんですか???天才????????しかもしっとりした優しい曲調なのに、歌詞が普段の名取とせんせえのやり取りを俯瞰したような内容でそれを名取がお誕生日会という場で歌う、もう天才しかおらんやんってなってしまったな。
表が終わって、アンコール。
いつものナース服姿の名取が出てきて、せんせえたちへのお手紙を読むお時間に。何回「は?泣くが?(泣いてる)」させんねん。もっとやれ。
読む前のリアルな紙のカサカサって擦れることが聞こえてきた時点でもうだめだった。スクリーンなんも見えん。鼻をすする音が劇場の最高のサウンドシステムを通して聞こえてきたあたりでヒトのカタチを失った。生きててよかったなぁ……と森羅万象に感謝した。地球があってよかったよ。人類は愚かじゃない。
最後に歌うはもちろん『さなのおうた。』。
以前、このブログの「ここまでも、ここからも、もっと、みんなで、夢、見よう!! / 名取さなちゃんすこすこのすこの巻」でも書きましたが、「これからこの曲が様々な場所で歌われる・流れる度に、「わたしここまでこれたよ 本当にありがとう」という言葉のもつ意味は大きくなって効いてくる」は本当にそのとおりで、改めてそれを実感・体感することができた。名取さなという人物の口から伝えられるこのフレーズは最強だよ。あぁ好きだよ。(素直)
ありがとね。
…
……
………
そんな感じの「さなのばくたん。 - ていねいなお誕生日会 -」でした。
まずはなによりも、無事開催できて本当によかった。ちょうど1年前、世が恐怖で包まれ始めるなか、中止が決まりチケットの払い戻しをした時の悔しさと悲しみをやさしさに変えて、1年後のいま、世界はまだまだ混乱しているけれども、そんな世界に光を射すような空間と気持ちを届けてくれた名取さなちゃんに改めてありがとう。
なんだか、ようやくここから始まっていくような、そんな気すらしてくる。
絶対またお誕生日会しような。せんせえたちの生の声が届けられるようになったら、いままでの分ぜんぶをぶつけにいくから覚悟していてくれよな。
そしたらまた、今度はハピ○テクイズでもやろうぜ。
いっぱい寝ていっぱいTwitterしてね。
おつかれさな~。
おまけ

世界でいちばん好きな後頭部です。
れんちーさんです。
21年3月7日に無事開催された名取さなちゃんのお誕生日会「さなのばくたん。 - ていねいなお誕生日会 -」に参加してきましたので、その記録と感情です。
🍆 まずはコラボカフェへ

6年ぶりの川崎到着後、まずは友人ら4人とエロイーズカフェ川崎さんで開催されていた「さなのばくだんCAFE in エロイーズカフェ川崎」へ。
1~2人での利用が基本っぽい構造だったためか、通された席はまさかの外のテラス席。
感染対策ばっちりだな!と思いつつ、やはり寒い。さなちゃんねる王のダジャレツイート並みに寒くて(重要なので太くしておくね)、全身でコラボを感じられる最高のロケーションでした。あのとき王のダジャレツイートの通知が来ていたら氷漬けになっていたかもしれない、命拾いした。(中もしっかり対策されててあたたかったでよ)
店内にはところ狭しと描き下ろしイラストが展示されていたり、フィギュアをローアングルで見られたり、コラボメニューを紹介している動画が流れていたり……どこを見ても名取がいて「……頑張ってんじゃん、あいつ」ってなりました。ふんっ……。
コラボメニューは放課後名取が友達と……なんだっけ、なんかそういうクッソ長い名前のメニューのドリンクとじゃがいもゴロゴロカレーを注文。大変美味でございました。おっきなじゃがいもがゴロゴロ入ってると嬉しくなっちゃう気持ちがよくわかった。しっかりナスが入ってたのも嬉しい。「名取さなってこういう味かぁ」という気持ちになりました。推しを体内に取り込むと健康にいいと古事記にも書かれていますからね、皆さんも機会があったらぜひ体験しましょう。3月28日までやってるよ。
🍆 タワレコもちゃんと見たでよ

タワレコ川崎店では名取が選んだマストバイなCD10選の展示がありました。見に行ったときには既に半分くらいのCDが完売していた。「
あと店内では『名取さなミュージックコレクション』(Track04とInst.以外)が無限ループで流れてました。(これは3月7日だけかな?)
曲自体は配信でいつでも聴けるけれど、オタクって生き物はやっぱり推しのモノは物理でほしいんよ。手にとって“重み”を感じたいんよ。だから物理リリースが決まって実際に手にした時はやはり嬉しかったし、某ウィルスの影響で様々なものが配信ベースになってきたこの現代だからこそ、こうして推しの重みを手にできた時、忘れかけていたオタクの感情を取り戻したような感覚になったよね。多分だけれど、名取もそういう感覚が同じくあるから、こうして物理リリースしたのも単に曲がある程度溜まったから、っての(ももちろんあるとは思うし、CD1枚で名取の今までの音を知ることができるバイブル的なことをしたかったのもあったと思う)が主じゃないと思うんですよね。だって、そうじゃないと『名取さなミュージックコレクション』なんてタイトルつけないと思うのよ。
あと偶然だと思うけれど、CDの展示のそばにはバチクソリアルなエビのフィギュアのガチャが置いてあったのがおもしろかった。
入り口には『名取さなミュージックコレクション』のトレーラーと宇木敦哉さん描き下ろしイラストの展示も。宇木敦哉さんの名前をこんな形で見る日がくるとはなぁ。センコロール12年前ってマジ?やば……。
🍆 劇場内に潜む名取さな
入場してフラスタを見つついざ座席へ……と思ったところで不意打ちを食らった。なんか妙なポスターが飾ってあるんよ。劇場内に飾られてるポスターって普通、現在公開中の映画だったり、直近公開1ヶ月前後くらいの映画の宣伝ポスターだと思うのですが、そういったポスターが飾られている空間にしれっと、いるんすよ。あの🍆が。
「あれ、なんでジョーズのポスターg……あ"ぁ"?!」という具合で気づき、横を見ると更に某エイリアン映画や某有名モダンホラーやルイー○マンションに影響を与えた某おばけ映画のパロポスターがずらりと……。「なにやってんだうちの推しは……」と頭を抱えてしまった。すき。しかもそれをイベント本編中で一切触れずに、終わってみんなが帰ってからTwitterで「そういやこういうのあったんよ」ってめっちゃ軽く写真をアップするに留めるあたりの制作スタンスに、「そういうとこあるよな」ってすこだなぁと思ってしまう。すきだぞ。
こちらは会場に飾られていた名取さなさん考案の映画パロディポスターです。 #名取爆誕 pic.twitter.com/9IAplXq8v1
— さなのばくたん。-ていねいなお誕生日会- Powered by mouse (@37bakutan) March 7, 2021
これな。
これのおかげで、他にも名取が紛れ込んでるんじゃないか?と疑心暗鬼になってしまった。最新の映画ポスターも「隅っこにおるんちゃうか……?」と見てしまったり、ジュースの自販機の桃かなにかのピンク色が見えただけで「名取か……?」と見てしまう病気にかかった。許せねぇ。
🍆 そこは紛れもなく“インターネット”だった

やっとイベント本編です。それだけイベント外のところへの仕込みが多かったということで。
開演前は映画が始まる前によくある劇場内での注意やノーモア某的な案内が3人の名取で行われていました。動画撮影はNGだけど写真撮影(スクショ)はOKってあたりに、「普段から好きな女の配信見ながらそういうことしてんやろな」みたいなことを思いつつ、こちらもバシバシ撮ってやりました。どこを切り取ってもかわいかったぞ。


んで開演。
開幕新曲『エッビーナースデイ』を叩きつけてくる名取。てっきり後半に持ってくるかと思っていたのでいきなりアビャ~~~ってなってしまった。かわいい。「誕生日!できたよ!」の歌詞で去年の中止から今までのことを思い出してしまい、始まって数分で「は?泣くが?」となってしまった。
と思ったら、間髪入れずに『ファッとして桃源郷』と『ギミー!レボリューション』をドロップ。『ファッとして桃源郷』のイントロが流れた瞬間「ほんまこの女」と先ほどの泣きそうな姿勢から一転、強い姿勢を取り戻すことができた。まぁ負けたことないんですが。
前者は歌詞の一部をどうするんだ?ショートでごまかすのか?と思っていたら2番が始まって、あかんこのままあの単語を言ってしまったらチネチッタ出禁まである(ない)……と思ったら「おしりかゆい」に変えてきて笑ってしまった。うちの推しがおしり好きすぎて困る。
3曲歌い終わったところで、現地とインターネットのせんせえたち全員を巻き込んでの大喜利の時間。なんで大喜利させられるんですか?こんなお誕生日会もう行きたくありません。(チラッチラッ)
でもこれは名取のほうから殴ってきたからな、こっちも全力でいかせてもらうぞと言わんばかりの回答が勢揃いで終始名取が楽しそうに笑っていたので、こっちも笑顔になっちゃったな……。
「スクリーン○のせんせえ~」に対して「…!…!(棒を振りながら無言のいぇぇぇぇい!!!!)」をやりつつも、名取が「じゃあ~、名取のこと好きなせんせえ~!」に対しては「……(は?別に好きじゃないが?)」と、全スクリーン(3スクリーン)のせんせえたちが事前に打ち合わせたかのように一斉に棒も振らずにスンッ……となるのが、あまりにも普段の配信と同じ過ぎて、今この瞬間、劇場内はたしかにリアルの空間ではあるが、ここはいつものインターネットなんだと感じられたのがとてもよかった。
そう、これなんよ。インターネットのバーチャルな存在として、その枠組みをギリギリのところで越えない狭間の空間を本人とそれを見るものたちで作り上げ、感じられる。だからこそいつもの好きの延長で安心して見ることができて、虚像と実存と記号の中で名取を想うことができるのです。
続いてライブパート2つ目。
『Make it!』と、残念ながら中止になってしまった去年のお誕生日会で歌うはずだった『PINK,ALL,PINK!』を初披露。『PINK,ALL,PINK!』は自分のイベントで歌うまで温め続けてきたらしく、「やっと歌うことができた」という言葉で、またしても「は?泣くが?(泣いてる)」となってしまった。歌詞も今回のために一部変更しての披露で、やはりモモーイは萌えの文化を長く見てきた天才だけのことはあるな……と同じ時代に生まれてよかったと実感。やぁ、00年代を生きた私たちにとってやっぱりモモーイは神、いわゆるゴッドなんですよ。
いやしかし『Make it!』な。好きな女が歌う好きな曲って最強じゃんね。演出まで神のアレでマイク持った瞬間大声出しそうになった。(無言)
お次は解釈一致クイズというなんともなコーナー。(なんともってなんですか?)
PCモニタは何枚使ってるだの、好きなTwitterクライアントは何だの、どーーーでもいいわ(でも推しのことはなんでも知られると嬉しいので嬉しい)みたいな名取の知識を試されるクイズコーナーだった。
TwitterはWebが一番好きちゅてたけど、いや絶対TweetDeck使ってる時間のほうが長いし常用しとるよね?ね???いつも見とるからな(ネトスト)
様々な告知を終えたところで、表の最後の曲であり、今回のお誕生日会のためのサプライズ新曲『アマカミサマ』。
楽曲クレジットは「作詞:只野菜摘/作曲・編曲:田中秀和(MONACA)」。なにがどうなったらそんなクレジットの曲が出てくるんですか???天才????????しかもしっとりした優しい曲調なのに、歌詞が普段の名取とせんせえのやり取りを俯瞰したような内容でそれを名取がお誕生日会という場で歌う、もう天才しかおらんやんってなってしまったな。
表が終わって、アンコール。
いつものナース服姿の名取が出てきて、せんせえたちへのお手紙を読むお時間に。何回「は?泣くが?(泣いてる)」させんねん。もっとやれ。
読む前のリアルな紙のカサカサって擦れることが聞こえてきた時点でもうだめだった。スクリーンなんも見えん。鼻をすする音が劇場の最高のサウンドシステムを通して聞こえてきたあたりでヒトのカタチを失った。生きててよかったなぁ……と森羅万象に感謝した。地球があってよかったよ。人類は愚かじゃない。
最後に歌うはもちろん『さなのおうた。』。
以前、このブログの「ここまでも、ここからも、もっと、みんなで、夢、見よう!! / 名取さなちゃんすこすこのすこの巻」でも書きましたが、「これからこの曲が様々な場所で歌われる・流れる度に、「わたしここまでこれたよ 本当にありがとう」という言葉のもつ意味は大きくなって効いてくる」は本当にそのとおりで、改めてそれを実感・体感することができた。名取さなという人物の口から伝えられるこのフレーズは最強だよ。あぁ好きだよ。(素直)
ありがとね。
…
……
………
そんな感じの「さなのばくたん。 - ていねいなお誕生日会 -」でした。
まずはなによりも、無事開催できて本当によかった。ちょうど1年前、世が恐怖で包まれ始めるなか、中止が決まりチケットの払い戻しをした時の悔しさと悲しみをやさしさに変えて、1年後のいま、世界はまだまだ混乱しているけれども、そんな世界に光を射すような空間と気持ちを届けてくれた名取さなちゃんに改めてありがとう。
なんだか、ようやくここから始まっていくような、そんな気すらしてくる。
絶対またお誕生日会しような。せんせえたちの生の声が届けられるようになったら、いままでの分ぜんぶをぶつけにいくから覚悟していてくれよな。
そしたらまた、今度はハピ○テクイズでもやろうぜ。
いっぱい寝ていっぱいTwitterしてね。
おつかれさな~。
おまけ

世界でいちばん好きな後頭部です。